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 トヨタ自動車は2019年7月、2020年の東京五輪で使用する電気自動車(EV)「APM(Accessible People Mover)」を開発したと発表した。競技会場内のセキュリティーゲートから観客席までの数百mの屋外を往復する用途などを想定する。

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図1 トヨタの東京五輪用EV「APM」
(a)3列シート構成の基本モデル。(b)1列目が運転席、2列目が3人掛け、3列目が2人掛け。(c)運転席はセンター配置。(d)APMについて説明したトヨタZEVファクトリーZEV B&D Labグループ長の谷中壯弘氏。(撮影:日経Automotive)

 トヨタが2020年に日本市場に投入する2人乗りの超小型EVのプラットフォームをベースに、ホイールベースを伸ばすなどの改良を加えて開発した(図2)。大会関係者や選手、高齢者、身体の不自由な人、妊婦、乳幼児を連れた人などを対象に「ラストワンマイル」の移動手段を提供する。ナンバーを取得でき、別の競技会場に車両を移動させることもできる。最高時速は19km/h。

図2 トヨタの超小型EV
図2 トヨタの超小型EV
トヨタは2020年に超小型EVを日本市場で発売する。東京五輪用のEVである「APM」も、超小型EVのプラットフォームをベースに開発した。ただし、APMは市販化の予定はないという。(出所:トヨタ自動車)
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 航続距離は超小型EVと同じ100kmである。「3人が乗車し、19km/hで走行した場合に100km走れる」(同社ZEVファクトリーZEV B&D Labグループ長の谷中壯弘氏)という。充電時間は200Vで5時間、100Vで15時間。

 電池は床下に配置し、後輪側に搭載した1台のモーターで駆動する。車両寸法は全長3940×全幅1620×全高2000mm。室内高は1620mm、開口高は1470mm。最小回転半径は4.8m。電池容量やモーター出力、車両質量は明らかにしていない。

 また、自動運転機能は搭載していない。「開発当初から手動運転を想定した」(同社)という。ただし、ペダルの踏み間違いによる誤発進抑制機能は搭載する方向である。