トヨタ自動車の研究子会社が開発している自動運転用の高精度地図を更新するためのデータ収集基盤。地図更新に必要なデータを第三者となる多くの企業などと共有し、開発を加速する狙いがある。トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)で、地図基盤開発を率いるマンダリ・カレシー(Mandali Khalesi)氏は、地図基盤を公開し、第三者と共有する目的として「各社が地図データ基盤を作るのは非効率で、中立的なデータ流通プラットフォームが必要になる」との考えを示した(図)。
一方で第三者にとっては、トヨタに“虎の子”のデータを“無償”で提供するようにも映る。日系大手自動車メーカーの自動運転技術者は、地図基盤へのデータ提供者を募る取り組みに対して、「参加するのは難しいだろう」と否定的に見ている。
「トヨタにデータを取られるだけではないのか」という懸念を払拭するためにも、カレシー氏は開発を急ぐ。「ものがなければ、話しようがない。まずは動くシステムを早く作り、いろいろな人に使ってもらいながら事業モデルなどを考えていきたい」(同氏)。第三者がデータを提供する際の条件や仕組みなどを含めた事業モデルについてカレシー氏は、「まだ何も言えない」と話すのにとどまる。
AWS活用し地図基盤を試作
懸念を取り除くために標準化団体を作り、各社が集う手段も考えられる。ただTRI-ADは否定的である。「標準化団体で議論し始めると、ものすごい時間がかかる」(カレシー氏)ためだ。
TRI-ADで地図基盤の開発を担当する五十嵐諒氏によると、開発を早めるために「Amazon Web Services(AWS)」を活用した。試作版を「わずか2カ月で開発できた」という。試作版を使いながら、第三者の候補となる企業などとこれから議論を深めていく。
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