全1503文字
PR

 日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)の西川広人氏が、2019年9月16日付で辞任した。同社の取締役会が同日付の辞任を要請し、西川氏はこれを受け入れた。自らの不正報酬問題が決定打となった。後任のCEOは指名委員会で、2019年10月末までに決める。それまでは、COO(最高執行責任者)の山内康裕氏がCEOを代行する。同社の混乱が収束するには、まだ時間がかかる。

 日産は元会長のカルロス・ゴーン氏などによる不正行為を認定した社内調査結果の概要を、2019年9月9日に公表した。株価連動型報酬制度「SAR」を利用して西川氏が社内規定より多い報酬を受け取っていた問題については、社内調査で「コーポレートガバナンス(企業統治)上の問題は重大だが、違法性はない」と認定された。西川氏は、かさ上げされて受け取った分を返納する。

 辞任の決定を受けて西川氏は、「できるだけ早く、けじめを付けたいと考えていた。一連の不正行為に関する社内調査が終わり、SARの件も区切りがついた。業績の回復にも、ある程度の道筋を付けられた。今が次世代にバトンタッチする時期と考えた」と話す(図1)。

図1 早期辞任に追い込まれた西川広人氏
図1 早期辞任に追い込まれた西川広人氏
「今が辞任の時期」としながらも、早期の辞任に悔しさをにじませた。(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 また、一連の不正行為に関与したゴーン氏と元代表取締役のグレッグ・ケリー氏については、「2人は現在の日産の状態を作り出した。社員や顧客などの関係者に多大な迷惑をかけたのが最大の罪だ。悔いてもらいたいが、これまでに彼らから、謝罪の言葉を聞いたことがない」と述べた。