トヨタ自動車は2019年9月、6年ぶりに全面改良したセダンとワゴンの新型「カローラ」を日本で発売した(図1)。同社の車両設計・開発手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を適用し、クルマとしての基本性能を高めた。TNGAを適用して全面改良し、2018年6月に先行発売したハッチバック車はグローバル対応車だが、今回の新型車は日本の道路事情に合わせてボディーを専用開発した。
新型の2車種は、TNGAに基づいて開発したCセグメント車向けプラットフォーム「GA-C」を適用した。トヨタのハイブリッド車(HEV)「プリウス」や、小型SUV(多目的スポーツ車)「C-HR」などに使っているものと同じである。
従来のセダン「カローラアクシオ」とワゴン「同フィールダー」は5ナンバー車だったが、新型車はGA-Cプラットフォームを適用したことで、従来車より車両寸法が大きい3ナンバー車となった。
2種類のプラットフォームを使い分け
新型セダン「カローラ」の車両寸法は、全長4495×全幅1745×全高1435mmで、ホイールベースは2640mm。従来車に比べて全長は95mm長く、全幅は50mm広く、全高は25mm低い。ホイールベースは40mm長い。
新型ワゴン「同ツーリング」の場合は全長と全幅、ホイールベースはセダンと同じで、全高はセダンより25mm高い1460mmである。従来車と比べると全長は85mm長く、全幅は50mm広く、全高は50mm低い。セダンと同様、ホイールベースは40mm長い(図2)。
一方、新型セダンの車両寸法を、欧米などで販売している海外仕様車と比べると全長は135mm短く、全幅は35mm狭く、ホイールベースは60mm短い(全高は同じ)。新型ワゴンの場合は全長が155mm短く、全幅が45mm狭く、ホイールベースは60mm短い。全高は同じである。
このように、海外仕様車に比べて全長と全幅、ホイールベースが短い日本専用のボディーを開発し、「狭い道路や駐車場といった環境でも運転しやすくした」と、新型車の開発責任者である上田泰史氏は言う。
GA-Cプラットフォームには、ホイールベースが2640mmの「ショート版」と、同2700mmの「ロング版」がある注1)。今回の新型車の場合、海外仕様車にはロング版、日本仕様車にはショート版を適用した。日本仕様車のプラットフォームを新たに開発するのではなく、ショート版を改良して適用することで開発費を抑えた。