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質量増加を抑えて衝突安全に対応

 ボディー骨格では、DNGAに基づく軽量・高強度ボディーを適用し、コストと質量の増加を抑えながら衝突安全に対応した。タントでは、引っ張り強さが1.2GPa級の高張力鋼板をボディー骨格に使う。今回の新型車はコストを抑えるために、980MPa級以下の使用を中心としながら、タントのボディー骨格とは異なる手法で衝突安全に対応した。

 新型車では、センターピラーやフロントピラー、サイドシルなどに980MPa級を使った。車両の前後に通るフレームやセンターピラーの根元などは590MPa級、リア・クォーター・パネルなどは440MPa級である(図3)。

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図3 新型車と「タント」のボディー骨格
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図3 新型車と「タント」のボディー骨格
(a)新型車に適用する高張力鋼板は980MPa級までだが、一体成形のサイド・アウター・パネル(緑の部分)を使用して側面衝突に対応した。(b)タントでは1.2GPa級の高張力鋼板をセンターピラーに使う。両車ともに、同じ色の部位で異なる強度の高張力鋼板を使い分けている。(撮影:日経Automotive)

 これに対して、タントのボディー骨格ではセンターピラーに1.2GPa級、フロントピラーやサイドシルなどには980MPa級と780MPa級を使う。新型車はセンターピラーの強度がタントより低いため、そのままでは、側面衝突に対する安全性が低下する恐れがある。

骨格側面に390MPa級の一体成形品

 そこで新型車では、骨格の側面を覆う「サイド・アウター・パネル」という大型部品を追加した。390MPa級の高張力鋼板で一体成形したものである。コストを重視して、使いやすい390MPa級を選んだ。環状構造の一体成形品を適用することで、センターピラーやフロントピラー、サイドシルなどに使う高張力鋼板の強度を980MPa級に抑えながら、側面衝突に対応できた。

 一方、新型車のボディー外板はコストを抑えるために、タントと同様に鋼板を中心にした。荷室のドアだけが、ガラス繊維(GF)で強化したポリプロピレン(PP)樹脂製である。

 新型車の車両寸法は、全長3995×全幅1695×全高1620mm。ダイハツのAセグメント車「ブーン」注3)より大きく、メーカーによってはBセグメントに属する寸法である。新型車のボディー質量は約300kg。高張力鋼板の使い方を工夫することなどで、鋼板製の外板を使いながら、ブーンよりも約10kgの質量増加に抑えた。

注3)ブーンの車両寸法は全長3680×全幅1665×全高1525mm 。新型車の全長はブーンより300mm以上長い。