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16.3の高圧縮比を造り込む

 Xの特徴は、SPCCI (火花点火制御圧縮着火)燃焼を行うこと。この機能を形にするために、エンジン工場では、まず16.3の圧縮比を精度良く造り込む必要がある。加えて、広範囲で安定したSPCCI燃焼を実現するために、空気過剰率を高める過給機「高応答エアサプライ」の機能を保証しなければならない(図3)。

図3 過給機「高応答エアサプライ」
図3 過給機「高応答エアサプライ」
Xの希薄燃焼を実現する重要部品。(写真:日経クロステック)
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 圧縮比を造り込む点では、シリンダー内のピストンが上がり切った高さ(トッピング)を確認する。トッピングの許容公差(ばらつき)は、SKYACTIV以前の初代「アテンザ」のエンジンを基準にGでは9%、Xでは54%も厳しくなっている。そこで、Xでは計測器(トッピングテスター)を導入し、4気筒全てのピストンのトッピングを全数測定し、品質を保証する。

 圧縮圧力も確認する。燃焼室に圧力センサーを差し込み、エンジンを回して圧縮圧力を計測する。加えて、吸気バルブと排気バルブの開閉タイミングや、流れる空気の量も測定する。こうして圧縮比の品質を確保している。

 燃焼室容積の公差は、SKYACTIV以前のエンジンを基準とするとGは54%、Xでは69%縮小している。この厳しい公差は機械加工で満たす。SKYACTIV以前のエンジンのシリンダーヘッドの燃焼室部分はざらざらとした素材肌(鋳肌)のままだった(図4)。これに対し、Gでは機械加工を一部施した。さらに、Xではボールエンドミルを使い、燃焼室内の全面を仕上げている。

図4 シリンダーヘッド
図4 シリンダーヘッド
燃焼室の前面をボールエンドミルで切削して仕上げている。(写真:日経クロステック)
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 SPCCI燃焼では、スパークプラグ(以下、プラグ)の電極の向きをそろえる必要がある。その向きが燃焼室内の混合気の流れに影響を与えるからだ。そこで、Xでは正しいトルクで締めるとプラグの電極の向きがそろうように工夫した。そのために、「1台ずつタッチセンサーで深さを測定し、正しくプリセットされた刃物で削っている」(同社)という。

480項目を確認

 エンジンの機能を確認する最後の装置である最終品質保証装置(コールドテスター)がある。モーターで、常用回転で使う2000rpmとアイドル回転に近い600rpmでエンジンを回転させ、その際の油圧や負圧、機械抵抗を計測。さらに、電気部品も動かして正常に機能していることを確認する。

 加えて、高応答エアサプライの機能を確認する。この部品は電磁クラッチを含み、必要に応じてクラッチをつないで過給する。そこで、電磁クラッチの接続と遮断が正しくできることや、クラッチがつながった際に、意図した通りの過給になっていることを確かめる注)

注)さらに、高応答エアサプライに加速度ピックアップを当て、異常振動が発生しないことを確認。マイクを使って音も測定する。エンジン全体としては480項目をこの工程で確認するという。この工程でも全数検査を行って機能を保証している。