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 トヨタ自動車が、世界最高水準の熱効率をさらに高めるとともに、窒素酸化物(NOx)の排出量を減らせる「過給リーンバーン(希薄燃焼)」ガソリンエンジンの開発に力を注ぎ始めた。コスト上昇を抑えながら、主力のハイブリッド車(HEV)の燃費性能を大きく高められる。希薄燃焼エンジンの量産ではマツダが先行したが、トヨタが追い上げてきた。

 トヨタは最近の実験で、最高熱効率が45%に達するとともに、高価なNOx後処理装置が要らない水準にNOx排出量を下げた。

 45%の熱効率値は、トヨタ自身が2017年に達成した量産機における当時の世界最高である41%を約1割上回る水準(図1)。近い将来に量産できれば、世界最高値を再び更新できるかもしれない。

図1 「カムリ」に搭載するハイブリッド車用2.0Lガソリンエンジン
図1 「カムリ」に搭載するハイブリッド車用2.0Lガソリンエンジン
最高熱効率で41%を達成した。(写真:トヨタ)
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 希薄燃焼エンジンの課題である高いコストも下げられる見込みがある。NOx排出量を0.1g/kWhに大きく下げた。この水準まで下がると、排気量1.5L前後のガソリン機で、日本のポスト新長期規制の75%低減水準を高価なNOx後処理装置なしにクリアできるとされる。

 希薄燃焼エンジンは一般に、排ガス後処理装置に安価な三元触媒を使えず、高価なリーンNOx触媒や尿素SCR(選択触媒還元)が要る。トヨタは後処理装置が要らない水準にNOx排出量を抑えるため、理論空燃比で燃焼する通常のガソリンエンジンの2.5倍以上に薄い“スーパーリーン(超希薄)”な混合気を燃やす技術を開発している。

 空気過剰率で2.5を超えるほどに薄くすると(通常は1)、比熱比を大きくして理論熱効率を高められる。加えて、燃焼温度を下げて冷却損失を減らせる。

 排気量を増やさずに高負荷域まで希薄な混合気をつくるため、過給器で気筒内に空気を押し込む。過給すると圧縮比を上げられなくなるため熱効率は下がる方向だが、希薄燃焼による向上分が上回る。

 トヨタが最近になってエンジンの開発に力を注ぐのは、電動化技術の急速な進化が「少し落ち着いてきた」(トヨタ技術者)ことがある。

 1997年に量産した初代「プリウス」から2015年に発売した4代目にかけて、モーターの出力密度は約4倍、電池は同3倍近くと急速に性能が向上した。一方、同じ期間でプリウス用エンジンの熱効率は、約6%の向上にとどまっている。

 これまで、HEVの性能を高めるにはエンジンに投資するよりも、モーターや電池の開発に投資する方が費用対効果に優れた。最近になってモーターと電池の性能向上が少し落ち着いたことで、エンジンの性能向上に再び力を注ぎ始めた。