いすゞ自動車とスウェーデン・ボルボ(Volvo)は2019年12月、商用車分野で業務提携すると発表した。提携の第1弾として、ボルボの100%出資会社であるUDトラックスをいすゞが買収することで合意した。2020年末までに手続きの完了を目指す。
今回の業務提携の柱は、(1)先進技術やCASE対応に向けた技術的な協力、(2)日本やアジアを中心とする大型トラック事業の強化、(3)将来の“物流革命”に向けた中小型トラック事業での協業─の3つ。いすゞによるUDトラックスの買収は、第2の柱の一環である。
買収後も当面はUDトラックスのブランドは存続するが、いすゞとUDトラックスの車両で設計・開発手法や部品などを共通化し、コスト削減を進める。ただ、いすゞ社長の片山正則氏は東京都内で2019年12月に開いた会見で、「両社の日本における生産体制の再編は、現時点では考えていない」とした(図)。
一方、第1の柱である先進技術やCASE対応については、ボルボが主導権を握る。乗用車分野と同様、商用車分野でも運転者不足や事故の削減、環境問題などを解決するため、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)、電動化技術の開発が進んでいる。これらの技術開発には膨大な時間と費用がかかる。
ボルボ社長兼CEO(最高経営責任者)のマーティン・ルンドステット(Martin Lundstedt)氏は、「大型トラック向け自動運転技術の開発を強化しており、港湾や鉱山など限定した場所で、無人運転トラックの実証実験を進めている」と言う。今後、両社は連携を強化し、開発コストを分担しながら早期の実用化を目指す。
CASEというトレンドによって商用車を取り巻く環境が大きく変化する中で、いすゞは「海外の商用車メーカーとの提携が必要であり、最も効果的」(片山氏)と判断し、ボルボと提携に関する交渉を約1年前から進めてきた。
いすゞは車種では中小型トラック、地域では日本やアジア、中近東などに強く、ボルボは車種では大型トラック、地域では欧州や北米などに強い。両社は重複する車種や地域が少なく、相互補完の体制を作りやすい関係にある。なお、いすゞはトヨタ自動車との資本提携を2018年に解消し、新たな提携先を探していた。
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