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 「液系のリチウムイオン電池(LIB)では、(電池パックの体積エネルギー密度で)300〜400Wh/Lの間にある壁を越えられないと考えている。(満充電1回当たり)500km走れる小型の電気自動車(EV)を造ることは難しい」。トヨタ自動車で全固体電池の開発に関わる中西真二氏は2020年1月に開催された「第12回オートモーティブワールド」の専門セミナー「EV進化の鍵となる、革新的電池の開発」に登壇し、このように指摘した。

 今の電気自動車(EV)は、(満充電1回当たりの航続距離を延ばすために)電池パックをたくさん積まなければならない。そのため、大型、もしくは全高が高い車両が多いというのが同氏の見方だ。そして、こうした壁を乗り越えるためにトヨタが期待しているのが全固体電池だという。

 「トヨタの2次電池の研究開発では、全固体電池にかなりフォーカスしている」(同氏)。この言葉から分かるように、同社は全固体電池の実用化に本気だ。実際、2008年ごろは革新電池に取り組んでいた電池研究者の多くを、今では全固体電池に振り向けているという。東京五輪・パラリンピックの年となる2020年、同社は試作した全固体電池を搭載した最初の車両のお披露目を目指す。

 その車両に搭載する全固体電池セルは、ラミネート型を採用し、フルサイズと呼ぶEVで使われているLIBと同等の大きさのものになる見込みだ()。固体電解質には硫化物系、正極や負極には既存のLIBで実績のある材料を適用する。

図 トヨタ自動車が試作した全固体電池セル
図 トヨタ自動車が試作した全固体電池セル
2019年5月開催の「人とくるまのテクノロジー展」に出展した。下から順に、スモールサイズ、ミドルサイズ、フルサイズと推定される。(撮影:日経クロステック)
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 もっとも、最終的にEV用の全固体電池セルがラミネート型になるかどうかは現時点では不明だ。「クルマは10年、15年といった長期の耐久性が求められる。ラミネート型のシールでそうした耐久性を確保できるか、今後の検討が必要」(同氏)とする。

 2020年代前半の全固体電池の実用化に向けて、同氏が一番重要としたのはプロセス技術である。ただし、その進捗については「今も一生懸命に取り組んでいる」という程度の発言にとどめた。

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