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 日本精工(NSK)は、電動車の駆動用モーターの高回転化に寄与する電動車用玉軸受を開発した。内径35mmの玉軸受の場合で3万rpmまでの高回転化が可能なdmN(ピッチ円直径dm×最高回転数N)140万を実現する技術を開発し適用した(図1)。同社の試算では、同技術を適用することで、標準的な玉軸受を使う最高回転数が1万1000rpmのモーターとの比較でモーターを約45%小型化できる可能性がある(図2)。

図1 新開発の内径35mmの電動車用玉軸受
図1 新開発の内径35mmの電動車用玉軸受
右側が開発品。上段がシールを外した状態、中段はグリースを封止する前の状態、下段が保持器。左側は標準仕様、真ん中は現行の高速仕様。(撮影:日経Automotive)
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図2 高回転化によるモーターの小型化効果
図2 高回転化によるモーターの小型化効果
NSKが試算した例。(出所:NSK)
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 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)といった電動車では、EV走行可能な距離の延長や広い車室空間の確保、燃費や電費の改善のために、駆動用のモーターの小型・軽量化が求められている。モーターの回転数を高められれば、モーターの出力を維持したままモーターを小型・軽量化できる。モーターの出力は回転数とトルクの積で決まり、トルクはモーターのローター径の2乗やローターの長さに比例する。

 NSKの調査では、電動車用の駆動モーターにおいて最高回転数が1万5000rpm以上のプロジェクトが増大しており、2025年を境に2030年に向けて3万rpmを狙う企業も出てきている(図3)。電動車用の駆動モーターでは軸の支持に玉軸受を通常2つ使用しており、高回転対応の玉軸受が必要とされている。電動車用の駆動モーターでは、内径が25〜35mmの玉軸受が使われることが多く、dmNで140万を実現すればそれらの玉軸受で3万rpmの高回転対応が可能となる。

図3 1万5000rpm以上のプロジェクトが増えてくる
図3 1万5000rpm以上のプロジェクトが増えてくる
NSKの調査結果に基づくもの。(出所:NSK)
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 NSKが今回開発した玉軸受は、グリースをシールで封止したタイプ(グリース潤滑)のものである(図4)。油潤滑を用いる玉軸受では、実はdmNで140万は既に実現されている。ただ、油潤滑の玉軸受では、油を循環させるオイルポンプや油を循環させるための流路が必要になってモーターの構造が複雑になる。そのため、駆動用モーターではグリース潤滑を選ぶ傾向が高まっている。だが、グリース潤滑方式では、dmNはこれまで120万が最高だった。

図4 グリース潤滑方式の玉軸受
図4 グリース潤滑方式の玉軸受
グリースは図では省略している。NSKの画像に日経Automotiveが文字を追加した。
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