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 古河電気工業は2020年6月、純銅(Cu)の溶接品質を大幅に改善できる「ハイブリッド型」のレーザー溶接技術を開発した。青色レーザーと近赤外レーザーという2種類のレーザー光を組み合わせたのが最大の特徴だ。主な用途はCuのレーザー溶接が多く使われる電動車両で、21年1月に製品化する予定である。

 同社が採用獲得を狙う電動車両の領域では、リチウムイオン電池やモーター、インバーターなど多くの部品でCu溶接が使われている。例えば、ラミネート型のリチウムイオン電池セルの負極には、電気を取り出す数十枚の集電体のCu箔とタブ端子となるCu板を溶接する製造工程がある。

 溶接技術は、アーク溶接に代表される「接触溶接」とレーザー溶接などの「非接触溶接」に大別される。後者は溶接する部材と工具が接触することなく加工できるため、接触溶接に比べて工具のメンテナンスの手間を大幅に低減できる。自動化とも相性が良く、古河電工は電動車両の製造工程でレーザー溶接の需要が高まると読んで今回の技術を開発した。

光吸収率が高い青色レーザーに着目

 同社によると、今回開発した溶接技術を使うことで、「従来のレーザー溶接に比べてスパッタ(飛散物)の発生率を1/20に抑えられる」(同社ファイテル製品事業部門主幹技師の繁松孝氏)という(図1)。溶接の条件を最適化すれば「ほぼスパッタレスにすることも可能」(同氏)とした。

図1 2種類のレーザーを使う「ハイブリッド型」で欠陥のない溶接に
図1 2種類のレーザーを使う「ハイブリッド型」で欠陥のない溶接に
安定した溶融・凝固を制御できるようになったため、一定の溶接幅を保つことが可能だ。(出所:古河電工)
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 近赤外レーザーを使った従来の溶接技術では、「入熱が安定せず、あるしきい値で突然Cuの溶融が始まり、加工欠陥が発生していた」(同社研究開発本部チームリーダーの行谷武氏)。入熱が安定しないのは、1070nmの波長を使う近赤外レーザーの、Cuに対する光吸収率が4%と低いから。