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ショートサイクル評価、電熱触媒が必要に

 次期規制ではNH3の規制対象への追加と併せて、リッチ運転を事実上禁止する流れだ。エンジンの最高出力が抑えられて、商品性に影響が生じる懸念がある。

 最高出力に達するエンジンの全負荷域では、気筒内を冷やすために燃料を多めに噴くリッチ運転がよく使われる。燃料の気化潜熱で冷やすわけだが、禁止されれば最高出力を抑えるほかにない。最高出力値は自動車のカタログに掲載するもので、消費者が意識しやすい指標である。数値が低くなると、車種によっては販売に影響するだろう。

 なおNH3以外の新しい規制物質として、亜酸化窒素(N2O)やメタン(CH4)が取り沙汰される。これらは温暖化ガスの一種であるため、CO2排出量に換算する形で、同排出量規制に取り込まれる可能性がある。

 次期規制でNH3対策に加えて厳しいのが、ショートサイクル評価である。冷間始動後、走り出し8km以内で排出ガス規制値の達成を要求するもの。三元触媒を強制的に暖める電気加熱式(電熱)触媒(EHC:Electrical Heating Catalyst)といった新技術が要るとみられている(図2)。コストの増加は避けられない。

図2 エンジンの電熱触媒の例
図2 エンジンの電熱触媒の例
(撮影:日経クロステック)
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 三元触媒は、冷えていると効きにくい。現在はエンジン始動後に排出ガスで暖めているが、ショートサイクルで評価されると間に合わない可能性がある。電熱触媒ならエンジン始動前から暖められる。現行規制は、三元触媒が暖まっていない走り出しで規制値を上回ったとしても、試験サイクル全体で規制値を満足すれば問題なかった。

 悩ましいのは、電熱触媒を暖め始める時期である。運転者が車に乗ってすぐに走り出す場合、エンジン始動前に暖めても間に合わないかもしれない。かといって、乗車前から暖め始めると、エネルギー消費量が大きくなりすぎる。自動車メーカー各社の工夫が問われそうだ。

 このほか現行規制で採用が広がりつつあったガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)の搭載は、事実上必須になりそうだ。「粒子数(PN:Particulate Number)」規制がさらに厳しくなる見込みである。