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 スウェーデンVolvo(ボルボ)は、同社にとって日本初投入となる48V簡易ハイブリッド車(48V MHEV)をSUV(多目的スポーツ車)「XC60」に追加した。同社は、2019年以降に発売する全てのボルボ車を電動化する計画を2017年に発表しており、その電動化戦略において既存のエンジン車の置き換えの中核を担うのが48V MHEVである。XC60には、「XC60 B5 AWD Momentum」「同Inscription」の2つの48V MHEVモデルを追加した。

 ボルボでは、脱エンジン車に向けて、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、48V MHEVといった複数の電動パワートレーンを用意する。同社にとってPHEVは、ハイパフォーマンスと位置づけるグレードを担うパワートレーン。4気筒の過給エンジンでは実現できない、V型8気筒エンジンに相当する性能を持たせる。

 一方、EVは、国や地域によって補助金の有無や手厚さ、充電インフラの整備状況、年間の平均走行距離などの条件が異なることから、市場に応じて位置づけを変える。ただし、基本的にはハイエンドだけではなく求めやすい価格帯のものも用意し、販売台数においてある程度の構成比を獲得することを狙う。

 これらに対して48V MHEVは、冒頭で紹介したように、電動化戦略に突き進む同社にとって今後の製品ラインアップで中核となるパワートレーンだ。「48V MHEVは急速に伸びていく」というのが同社の見立てだ。

 そうした同社が、日本初投入となる48V MHEVにあえて組み合わせてきたのが、新開発の気筒休止エンジン「Gen3 Drive-E」である(図12)。排気量2.0Lの直列4気筒ガソリンターボエンジンで、最高出力は184kW、最大トルクは350N・m。そのクランクシャフトにベルトを介してISG(スターター兼ジェネレーター、同社は「ISGM」と呼ぶ)を接続する。

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図1 XC60の48V MHEVモデル「XC60 B5 AWD Inscription」
(a)ボルボにとって日本初投入となる48V MHEV。(b)同車のエンジンルーム。(撮影:日経Automotive)
図2 気筒休止エンジンのGen3 Drive-E
図2 気筒休止エンジンのGen3 Drive-E
ISGMがベルトを介してクランクシャフトに接続されている。ISGMのモーターとしての最高出力は10kW、同最大トルクは40N・m。(出所:ボルボ)
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