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 トヨタ自動車が、電気自動車(EV)の仕様を公開する。対象とするのは、2020年冬に発売の超小型EVに搭載する電池や車体などの主要部品(図1、表)。国内市場向けの2人乗りEVだけに、一見すると地味な取り組みだが、実は大きな狙いがある。25年以降に導入が始まる見込みの新規制に向けて、トヨタが先回りして布石を打つ。

図1 超小型EVの市販予定車
図1 超小型EVの市販予定車
リチウムイオン電池は床下に配置した。駆動用モーターは後輪側に搭載する。写真はトヨタ自動車が「東京モーターショー2019」で展示した様子。(撮影:日経Automotive)
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表 トヨタの超小型EVの主な仕様
国土交通省が定める「超小型モビリティ(型式指定車)」の規格を満たすように設計した。トヨタの資料を基に日経Automotiveが作成。
表 トヨタの超小型EVの主な仕様
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 「EVの電池パックを標準化し、形状だけでなく制御方法も含めて外部に公開していく。電池に加えて車体も外部供給する方針で、当社の超小型EVをベースにしたモビリティーを開発してもらって構わない。仲間づくりを加速させていきたい」

 “オープン戦略”に舵(かじ)を切った理由を語るのは、トヨタでEV開発を主導する豊島浩二氏(トヨタZEVファクトリー副本部長ZEV B&D Lab部長兼チーフエンジニア)である。電池や車体の供給先として、「パワーコンディショナー(パワコン)を扱うメーカーやロボットを開発する企業、モビリティー関連のスタートアップなど、一緒に取り組んでくれる企業と幅広く連携していきたい」(同氏)とする。