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 将来の新型エンジン開発の噂が聞こえてこないトヨタ自動車だが、とてつもない市販ガソリンエンジンを開発した。2020年9月発売のスポーツ小型車「GRヤリス」に搭載した「G16E-GTS」である(図12)。独BMWとの共同開発車である「GRスープラ」に続く豊田章男社長肝いりのスポーツカーで、公道を疾走できるGRシリーズ専用に初めて設計された内製エンジンだ。

図1 性能もすごいが、造り方もすごい
図1 性能もすごいが、造り方もすごい
(出所:トヨタ)
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図2 GRヤリスの外観
図2 GRヤリスの外観
(出所:トヨタ)
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 市販車からモータースポーツカーにチューンアップするのではなく、GRヤリスのためだけに、「WRC(世界ラリー選手権)」などで培われた技術を基に生み出したエンジンである。プロドライバーが求める動力性能と真摯に向き合い、さらにモデルベース開発(MBD)をフル活用して、最適なエンジンを設計している。今までのトヨタの試作を繰り返す開発プロセスを考えると、とっても“スマート”だ。