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 SUBARU(スバル)が2020年10月に満を持して発表した中型ステーションワゴンの新型「レヴォーグ」。先進運転支援システム(ADAS)「新世代アイサイト」のステレオカメラのサプライヤーが、日立アステモ(旧・日立オートモティブシステムズ)からスウェーデンVeoneer(ヴィオニア)に変わった。ステレオカメラで業界をけん引してきた日立アステモは、どう巻き返しを図るのか。同社の副CTO(最高技術責任者)に次の一手を聞いた。

 日立アステモのADASや自動運転(AD)に関する基本戦略は、ステレオカメラを中核のセンサーと位置付け、同カメラにADAS/AD用ECU(電子制御ユニット)、パワートレーンシステム、シャシーシステムなど自社のコア技術を組み合わせたソリューションとして提供することである。

3世代のステレオカメラを開発

 この基本戦略の下でステレオカメラについては、「自動車メーカーの要求や世界の予防安全基準に対応できるように性能を進化させてきた」(同社コーポレートオフィサーDeputy CTO兼チーフルマーダビジネスオフィサーの山足公也氏)という(図1)。こうした戦略に基づいて小型ステレオカメラでは、これまでに3世代の製品を開発した。

図1 日立アステモの山足公也氏
図1 日立アステモの山足公也氏
「自動車メーカーの要求や世界の予防安全基準に対応できるように、カメラの性能を進化させてきた」という。(出所:日立アステモ)
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 第1世代のカメラ(従来カメラ)では、同カメラを使う自動ブレーキを昼間の車両や歩行者に対応させた。第2世代のカメラ(現行カメラ)を使う自動ブレーキは、昼間の車両や歩行者、夜間歩行者に対応する。

 19年12月に発表した第3世代のカメラ(新型カメラ)が対応するのは、昼間の車両や歩行者、夜間歩行者に加えて、交差点の右左折である。交差点に対応するため、カメラを広角化した。交差点での右折時の対向車、右左折時の横断歩行者や自転車を検知して、自動ブレーキを作動させる。