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 神戸製鋼所は、高炉からの二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減できる技術を開発した。操業中の高炉を用いた実証実験で、生産性を落とさずにCO2排出量を従来に比べて約20%減らせることを確認した。また、高炉自体を大幅に改修せずに済み、CO2排出量の削減コストを抑えられる利点もある。

 最近になって欧州や中国などが、CO2排出量と吸収量を均衡させる「カーボンニュートラル(炭素中立)」を打ち出した。日本も2050年の炭素中立を目指す政策目標を掲げる。こうした状況を受けて自動車など世界の製造業は、炭素中立に向けた検討を始めた。2021年2月に開催した電話会見で、神戸製鋼副社長の柴田耕一朗氏は、「低CO2鋼材を使いたいという顧客の要望があれば、1年以内に供給できる」と述べた。

CO2を大量に排出する高炉

 製鉄プロセスの基幹設備である高炉では、鉄鉱石(酸化鉄)を焼き固めた「焼結鉱」と、石炭を蒸し焼きにした「コークス」を使う。神戸製鋼の高炉では、鉄鉱石を細かく砕き、ペレット状にした焼結鉱を使う。

 これらの原料を高炉の上部から装入し、高炉の下部から微粉炭(粉砕した石炭)と高温の空気(酸素)を吹き込み、焼結鉱を溶かしながら還元する。コークスで焼結鉱を還元した鉄は、「溶銑(溶けた銑鉄)」という。

 こうした製銑工程で、CO2が大量に発生する。鋼材の生産工程全体で発生するCO2のうち、80~90%が高炉からのものである。高炉からのCO2発生量を減らすことは、低CO2鋼材を求める顧客の要望に応えることに加えて、神戸製鋼自身が炭素中立を実現するための第一歩にもなる(図1)。

図1 高炉の仕組み
図1 高炉の仕組み
鋼材の生産工程全体で発生するCO2のうち、80~90%が高炉からのものである。(出所:神戸製鋼所)
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 高炉からのCO2排出量を削減するには、使用する焼結鉱とコークス、微粉炭の量を減らせばよいが、それでは生産量が落ちてしまう。生産量を落とさずにCO2排出量をいかに減らすかが鍵になる。そこで神戸製鋼は、同社の100%出資会社である米Midrex Technologies(ミドレックス・テクノロジーズ)が持つ技術で作った「還元鉄(HBI)」を、高炉に大量に投入する方法を採用した。