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 新型コロナウイルス禍が続く中、日本の自動車各社の業績が回復してきた。2020年度(20年4月~21年3月)の連結決算で、7社が直近の計画を上回った。21年度(21年4月~22年3月)は、スズキを除く6社が営業増益を計画するが、車載半導体不足や原材料価格の上昇などが減益要因となる。炭素中立への対応という長期的な課題もあり、各社は事業基盤のより一層の強化が求められる。

 新型コロナ禍の影響で、20年度の世界の自動車市場は、すべての地域で減少した。欧州や北米などの減少幅が大きかった(図1)。ただ、20年度下期(20年10~21年3月)には中国や北米などを中心に市場が回復し、自動車各社の世界販売台数は増加に転じた。

図1 20年度の世界の自動車市場(万台)
図1 20年度の世界の自動車市場(万台)
新型コロナ禍が本格化したことで、20年度の世界市場は10%以上減少した。( )内は前年度比の増減率。日産自動車の発表データを基に日経Automotiveが作成。
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 各社の20年度の世界販売台数を見ると、7社すべてが前年度比では減少したが、トヨタ自動車やホンダなど4社は、前回計画(21年2月時点、以下同じ)を上回った(図2)。

図2 自動車7社の世界連結販売台数(万台)
図2 自動車7社の世界連結販売台数(万台)
20年度はトヨタ自動車など4社が前回計画を上回り、マツダなど3社が同計画を達成できなかった。21年度はスズキを除く6社が、前年度比で増加を計画する。( )内は前年度比の増減率。※1は前回計画を上回り、※2は同計画を下回った。各社の発表データを基に日経Automotiveが作成。
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 20年度下期の世界販売の増加は、各社の業績回復の追い風となった。20年度の営業利益を見ると、日産自動車と三菱自動車を除く5社が前回計画より増えた注1)。5社のうちホンダは、通期の連結決算では3期ぶりの営業増益を記録した。

注1)日産自動車と三菱自動車は、前回計画より営業赤字幅を縮小させた。

 21年度はスズキを除く6社が、世界販売台数の増加と営業増益を計画する。日産と三菱自は、営業黒字の達成を見込む。ただ、車載半導体の不足は、少なくとも21年度上期まで続く見通しだ。原材料価格の上昇注2)という課題もある。各社は原価低減などの取り組みを強化し、計画の達成を目指す(図3)。

注2)原材料のうち、エンジン後処理の触媒に使う貴金属(ロジウム)の価格が、20年度の1年間で約3倍に高騰した。21年度に入っても、ロジウムの価格は高水準で推移する。
図3 自動車7社の営業利益(億円)
図3 自動車7社の営業利益(億円)
20年度はホンダだけが営業増益を達成した。ただ、トヨタなど6社も前回計画を上回った。21年度は日産と三菱自が営業赤字の解消、トヨタとマツダ、スバルが大幅な増益を計画する。( )内は前年度比の増減率。※1は前回計画を上回った。各社の発表データを基に日経Automotiveが作成。
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