ハイブリッド車(HEV)技術の主役交代が近づく。20年以上にわたり同技術をけん引してきたトヨタ自動車のシリーズパラレル方式に対し、日産自動車が手掛けるシリーズ方式が性能と規模の両面で迫る勢いだ。日産は次期シリーズHEVで、独自のエンジン技術を投入して燃費性能を高める。ダイハツ工業は日産に続いてシリーズHEVを量産した。電気自動車(EV)との親和性の高さも追い風で、シリーズ方式が躍進する。
日産は、2016年からシリーズHEV技術「e-POWER(イーパワー)」を量産している。22年から日本に投入予定の次期主力SUV(多目的スポーツ車)「エクストレイル」で、e-POWERを大幅に改良する計画だ(図1)。発電専用の新しい3気筒ガソリンターボエンジンを採用し、燃費性能と動力性能を高める。
一方でトヨタは1997年に量産した初代「プリウス」からシリパラ方式「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)」を量産し、改良を重ねてきた。日産はエクストレイルの最大の競合車と見据えるトヨタ「RAV4」の燃費性能(HEVの4輪駆動は20.6km/L)に、新しいe-POWERでどこまで迫れるかが焦点だ。