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 韓国Hyundai Motorは2022年5月に、ZEV(Zero Emission Vehicle)で日本市場に再参入する。同社は01年に日本市場に参入したが、販売が振るわず、09年に撤退していた。今回は投入する車種を電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)に絞り、日本市場の開拓に再挑戦する。日本国内に販売店は持たず、販売はオンラインに限定する。

 Hyundaiの日本市場への再参入は成功するのか。22年2月のオンライン発表会で、同社が披露した新型EV「IONIQ 5」(以下、新型車)の価格や航続距離などを見ると、競争力は十分にありそうだ(図1)。22年3月に新型EV「アリア」の発売を予定している日産自動車など日本メーカーの強力なライバルになる可能性がある。

図1  Hyundaiの新型EV「IONIQ 5」
図1  Hyundaiの新型EV「IONIQ 5」
22年5月に日本で発売する。価格や航続距離などからみて、日本市場での競争力は十分にある。(出所:Hyundai Mobility Japan)
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 今回の新型車には、総電力量58.0kWhの電池パック搭載車と、同72.6kWhの電池パック搭載車がある。前者の車両(後輪駆動)の満充電からの航続距離は498km(WLTCモード:⾃社測定値、以下同じ)、後者の車両(後輪駆動)の航続距離は618kmとなっている。

航続距離はアリアを上回る

 日産のアリアの場合、総電力量66kWhの電池パック搭載車(B6)の航続距離は470km、同90kWhの電池パック搭載車の航続距離は610kmである。Hyundaiの新型車はアリアより総電力量が少ない電池パックで、アリアを上回る航続距離を実現した。

 新型車の車両価格(消費税込み、以下同じ)を見ると、58.0kWhの電池パックを搭載するベースグレードが479万円、72.6kWhの電池パックを搭載する上級グレードが519万~589万円である。

 一方アリアの車両価格は、航続距離が66kWhの電池パック搭載車(B6)が539万円。Hyundaiのベースグレードの価格はアリアのB6より60万円安く、米Tesla(テスラ)のEV「Model 3」と同水準だ。航続距離と価格からみて、Hyundaiの新型車は競争力が十分にあるといえる。

 Hyundai社長兼最高経営責任者(CEO)の張 在勲氏は、「過去に日本市場から撤退した最大の原因は、ユーザーの声にしっかりと耳を傾けていなかったこと」と振り返る(図2)。

図2 Hyundai Motor社長兼CEOの張 在勲氏
図2 Hyundai Motor社長兼CEOの張 在勲氏
「過去に日本市場から撤退した最大の原因は、ユーザーの声にしっかりと耳を傾けていなかったこと」と振り返る。(出所:Hyundai Mobility Japan)
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 実際にHyundai車の日本における保有台数は、撤退時の09年には1.5万台だったが、現在はわずか600台にとどまっている。それでも、「日本のユーザーとのつながり(絆)を守り続けてきた」と張氏は強調する。