ドイツAudi(アウディ)が、“第3"の電気自動車(EV)専用プラットフォーム(PF)の適用を加速させる。同社は2024年にワゴンタイプのEV「A6 Avant e-tron」を投入する計画を明かした。EV専用PF「PPE(Premium Platform Electric)」を使い、800Vシステムや2速変速機などを採用する。
「ほとんど量産モデルに近い」。同社が22年3月に発表したコンセプトEV「A6 Avant e-tron concept」について、担当デザイナーはこう語る(図1)。ドアハンドルこそ無いが、外観デザインの95%はA6 Avant e-tronそのものだという。
アウディはEV専業ブランドへの転身を宣言しており、EVの車種拡充を急ぐ。25年までに約25モデルのEVを用意する予定で、実現に向けて重要な役割を担うのがEV専用PFのPPEだ。
同社は18年に同社初のEVとして大型SUV(多目的スポーツ車)タイプの「e-tron」を発売した。e-tronのPFは「MLB evo(Modular Longitudinal Matrix evo)」。エンジン縦置きの前輪駆動パワートレーンを基本とする車両に向けて開発したPFで、これをベースにEVを仕立てた。
アウディがEV専用PFを初めて採用したのは、21年2月に発売した4ドアクーペの高性能EV「e-tron GT」である(図2)。ドイツPorsche(ポルシェ)と共同開発した「J1」を適用した。その2カ月後に発表した小型SUVタイプのEV「Q4 e-tron」は、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)グループ共通のEV専用PF「MEB(Modular Electric Drive Toolkit)」を適用した(図3)。
PPEは、J1そしてMEBに続く、アウディとしては3つめのEV専用PFとなる。J1と同じくポルシェと共同開発し、技術的な共通点も多い。e-tron GTとポルシェ「Taycan(タイカン)」という高性能EVに向けて開発したJ1をベースに、より幅広い車種に展開できるようにした格好だ。アウディによると、PPEは「B~DセグメントのEVに使える」という。