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 帝人は炭素繊維(CF)の製造工程における二酸化炭素(CO2)排出量の算出方法を確立した。自社のCF製造工程のどの部分でどの程度のCO2が排出されているかを可視化できるのが特長である。開発した手法を同社は、CO2排出量の低減に向けた製造工程の改善に役立てる計画だ。

 帝人は算出結果を自動車メーカーや航空機メーカーなどの顧客企業に提供し、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製品などの製造から使用、廃棄、リサイクルまでのライフサイクル全体でのLCA(ライフサイクルアセスメント)評価を行えるようにする計画である(図1)。

図1 帝人の炭素繊維事業に関するLCA活動計画
図1 帝人の炭素繊維事業に関するLCA活動計画
自社のCF生産工程だけでなく、顧客企業を含めたライフサイクル全体で評価を行えるようにする計画である。(帝人の資料に日経Automotiveが加筆)
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 同社は2050年度までに、自社工場などから排出されるCO2を実質的にゼロにするカーボンニュートラル(炭素中立)計画を打ち出している。今回CFの製造工程におけるCO2排出量の算出方法を確立したのは、自社の炭素中立計画の実現に加えて、顧客企業の要請に応える狙いもある。

排出削減迫られる材料・部品メーカー

 帝人で炭素繊維事業本部長補佐の梅元禎孝氏は、「自動車メーカーなどの顧客企業から材料メーカーや部品メーカーに対して、製造工程におけるCO2排出量の削減を求める声が強まっている」と話す。リサイクル材の使用を求める動きもあるという。こうした顧客企業の要請に応えるには、CO2排出量を算出する方法の確立が不可欠である。

 帝人が手掛けるCFの製造方法を見ると、まずアクリロニトリル(AN)などの原材料から作ったポリアクリロニトリル(PAN)繊維(プリカーサー)を高温空気中で酸化PAN繊維に変化させる。次に、窒素を充填した加熱炉(オーブン)で摂氏1000~1500度に加熱し、酸化PAN繊維を炭化させてCFにする。

 高弾性率タイプのCFの場合は、さらに不活性ガス中で同2000~3000度に加熱し、黒鉛化処理を施す。最後に表面処理(またはエッチング処理)やポリマーコーティング(サイジング処理)を施し、ボビンに巻き付けて製品(CFフィラメント)にする(図2)。

図2 帝人のCF製品
図2 帝人のCF製品
PAN繊維を酸化した後に炭化・黒鉛化処理、表面処理などを施して製品にする。(写真:帝人)
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