全1563文字
PR

 ソニーグループ(ソニーG)が、車載LiDAR(レーザーレーダー)向け部品の量産を2023年に開始する。車載カメラ向けイメージセンサーに続いてLiDAR部品を手掛けることで、自動車業界での存在感を高めていく。同社が車載LiDAR向け部品を量産するのは今回が初めて。2020年1月に市場参入の意向を明かしていた。

 量産するのはSPAD(Single Photon Avalanche Diode:単一光子アバランシェダイオード)と呼ばれる受光素子である(図1)。SPADは、入射した1つの光子(フォトン)から、雪崩のように電子を増幅させる「アバランシェ増倍」を利用する画素構造を持つ。弱い光の検出も可能になる点が特徴だ。

図1 ソニーグループが量産するLiDAR向け受光素子
図1 ソニーグループが量産するLiDAR向け受光素子
SPAD画素と測距処理回路を1チップ化した。右は、同受光素子を内蔵したLiDARの試作品。(写真:左はソニーG、右は日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 高感度なSPADを受光素子に用いることで、自動車用に用いられる直接Time of Flight(dToF)方式によるLiDARの測距を長距離化できる。dToFは、光源から光を照射し、対象物に反射した光を受光素子が検知するまでの時間差から、対象物までの距離を測る方式である。

 量産に先立ち、ソニーGは製品化する最初のSPAD距離センサー「IMX459」のサンプル出荷を2022年末までに始める。当初は2022年3月に出荷を開始する予定だった。やや遅れたものの、出荷のめどが立った。

 同社はIMX459を搭載したLiDARのリファレンスデザイン(参照設計)も用意した。ソニーG自身がLiDARの形に仕上げて製品化する予定はなく、あくまでSPADの評価用である。15cm間隔で最大300m先まで測定できるという。

 ソニーG傘下で半導体事業を担うソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)は2022年6月、LiDARのリファレンスデザインを使ったデモンストレーションを報道陣に公開した(図23)。検知範囲は水平120度で、角度分解能は0.2度である。人や車両だけでなく、反射光が小さくなるタイヤや樹脂製の三角コーンなども形状を正確に捉えていた。

図2 LiDARのリファレンスデザインを使ったデモの様子
図2 LiDARのリファレンスデザインを使ったデモの様子
写真左にあるのがLiDAR。(写真:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]
図3 LiDARで取得した距離画像
図3 LiDARで取得した距離画像
画面中央部に三角コーンやタイヤ、人のダミーが映っている。(写真:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]