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 トヨタ自動車は2022年8月に発表した新型「シエンタ」で、2種類の構造用接着剤を使い分けた。開発責任者であるToyota Compact Car CompanyのTC製品企画ZPチーフエンジニアの鈴木啓友氏によると、従来のタイプに加え高減衰タイプの構造用接着剤を使用することで、静粛性や乗り心地を向上できたという(図1)。

図1 新型シエンタの開発責任者を務めた鈴木啓友氏
図1 新型シエンタの開発責任者を務めた鈴木啓友氏
(写真:日経Automotive)
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 先代のシエンタは、車体のパネルとパネルをつなげる際にスポット溶接を多用しており、「構造用接着剤は使っていなかった」(鈴木氏)。スポット溶接を採用すると、製造コストを低くできる半面、溶接部分の剛性を上げにくいという欠点がある。

 一方、構造用接着剤は面と面でボディーパネルを貼り合わせるため、結合剛性に優れる。そのためねじり剛性が高まり、操縦安定性に寄与するという。トヨタは、2020年に発売した小型車「ヤリス」をはじめとする、ここ数年に発表した新型車では「接着剤を使うようにしている」という(同氏)。ただ、通常の構造用接着剤を使いすぎると車体剛性が高くなりすぎて、地面の入力が乗員に伝わり「ごつごつした乗り心地になる」(同氏)。