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 ドイツSchaeffler(シェフラー)は同社のプライベートイベントで、電動車向けに開発している駆動モーターの一部を披露した。「発電機と駆動用モーターのステーターを一体化した」(シェフラー日本法人の説明員)という。2モーター方式のハイブリッドシステム向けの「ステータ2in1」と呼ぶものだ。同社は、ほかに高い体積出力密度を持つ軸方向磁束モーター(アキシャル・フラックス・モーター)や、冷却を工夫して低速時の銅損を減らした巻き線界磁式同期モーターも開発している。それらの一部も公開した。

 ステータ2in1は、概念的には、インナーローターの発電機とアウターローターの駆動用モーターを組み合わせたものだ(図1)。内側から発電機のローター、同ステーター、駆動用モーターのステーター、同ローターという配置になっており、2つのステーターを一体化している。発電機のローターのみが両持ちの軸、駆動用モーターのローターと一体型のステーターは中空の片持ちの軸をそれぞれ反対側から接続するイメージとなる。

図1 発電機と駆動用モーターのステーターを一体化したシェフラーの新構造モーター
図1 発電機と駆動用モーターのステーターを一体化したシェフラーの新構造モーター
インナーローターの発電機とアウターローターの駆動用モーターを組み合わせたうえで、両者のステーターを一体化して、小型・軽量化と低コスト化を図った。(写真:日経Automotive)
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 一体化で得られるメリットは、小型・軽量化と低コスト化である。同説明員によると、全長は49mm短く、質量は10kg軽く、電磁鋼板の削減でコストも安くなるとしている。外径寸法は現行のものに合わせて造っているとする。最高出力は、発電機が70kW、駆動モーターが120kWとしている。ただし、鋼板の積み増しで出力は調整可能だ。いずれも永久磁石式同期モーター(あるいは発電機)である。

 今回公開した軸方向磁束モーターは、円板状の2つのローターの間に円板状の1つのステーターを軸方向に対向させるように配置したものだ(図2)。一般的な径方向磁束モーター(ラジアル・フラックス・モーター)よりもローターの径を大きくしやすいため、トルクや出力を高められる。また、軸長を短くできるため、モーターの薄型化が可能で、軸方向にそれらを2つ以上並べて配置することも考えられるという。

図2 開発中の軸方向磁束モーター
図2 開発中の軸方向磁束モーター
外形寸法は直径306×全長93mm、質量は33kg、最高出力は250kW、最大トルクは500N・m。(写真:日経Automotive)
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