Automotive Report
目次
-
エンジンに大排気量化の新潮流、スバルとスズキが燃費改善
ガソリンエンジンの燃費性能を高める手段として、排気量を大きくする“アップサイジング"に日系自動車メーカーが舵を切る。大排気量化は、かねて出力向上の手段にするのが一般的だった。燃費改善につなげる新しい潮流が始まる背景には、実走行中の燃費値に近づけた新測定法の導入がある。一方で、排気量に応じて増える自…
-
新燃費試験のWLTP、CO2排出量が大幅増と試算
英国の調査会社、JATOダイナミクス(JATO Dynamics)は2018年8月、新しい燃費測定基準であるWLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)の影響に関する最新の調査結果を発表した。WLTPに移行すると、自動車メーカーは…
-
EV用電池に選択肢拡大の兆し、新構造や新負極で従来品と差異化
電気自動車(EV)用の電池で現在主流は、リチウムイオン電池(LIB)である。特に、炭素系の負極材料と層状酸化物系の正極材料を組み合わせ、有機電解液を注入したものが一般的だ。だが一方で、現在開発が進められているLIBの中には、それとは異なった発想で作られたものがある。一部にEV用電池として適用できる…
-
全固体電池へのSi負極適用に道筋、NIMS、ナノ多孔構造で寿命改善
黒鉛などの炭素系材料と混合・複合化しないシリコン(Si)を、車載用電池の負極に適用できるようにする—。その道筋を示す技術を開発したのが物質・材料研究機構(NIMS)エネルギー・環境材料研究拠点二次電池材料グループ主任研究員の太田鳴海氏らのグループだ。量産には課題を残すが、硫化物系の全固体電池におけ…
-
燃費・排ガス検査で不適切行為、スズキは49.9%、マツダは3.8%
完成車の一部を抜き取って燃費・排ガスを測定する「燃費・排ガスの抜き取り検査」。SUBARU(スバル)や日産自動車に続き、スズキやマツダでも、同検査で不適切な取り扱いがあったことが判明した。驚くのは、スズキにおける不適切行為の比率の高さである。湖西・相良・磐田の3工場全体で49.9%、湖西工場単独で…
-
米国が仕掛ける関税引き上げ、完成車1台で66万円のコスト増
米トランプ政権が、世界の自動車メーカーを揺さぶっている。同政権は自国産業の保護を目的に、米国に輸入される完成車や自動車部品に追加関税を課す検討を進める。輸入車については、現在2.5%の関税を25%に引き上げる案が浮上する。発動されれば、日本の自動車メーカーの業績は大幅に悪化する。中長期的には、米国…
-
ヤマハ発動機のダンパー、ボディー剛性感を減衰で高める
安全、燃費の要求が厳しい中、車体の剛性を上げることが難しくなった。剛性に代わって減衰を上げることによって剛性の高い車体並みか、それ以上に気持ちの良い車体ができる。
-
自動ブレーキ用CMOSカメラ、2020年代初めに800万画素へ
世界の車載CMOSイメージセンサーで50%のシェアを持つ米オン・セミコンダクター(ON Semiconductor)が、クルマの先進安全支援システムで存在感を高めている。自動運転時代に向けてどこを強化するのか。副社長のLance Williams氏に聞いた。
-
高耐熱キャパシター、EPSの補助電源に活用
ジェイテクトが解発、高負荷・電源故障時も作動
ジェイテクトは2018年7月、電動パワーステアリング(EPS)の補助電源としてキャパシターを使うシステムを公開した。既存の12Vの鉛蓄電池では出力が不足する場合や、鉛蓄電池が故障した時に電力を補う。補助電源は、自動運転に向けて今後搭載が必要とされる他、大型車両への搭載が進むと見られる。2022年ご…
-
DaimlerとBoschの完全自動運転車、NVIDIAの“頭脳”など「中身」判明
ドイツのダイムラー(Daimler)とボッシュ(Bosch)は、運転者がいなくても走れる完全自動運転車を使った交通サービスを2019年後半に試験的に始める。
-
鋼とアルミを接合するロボット、カメラで位置決め精度を高める
ロボット・FA装置大手のファナックと神戸製鋼所は、アルミニウム(Al)合金や高張力鋼板などの異種金属を接合するロボットシステムを開発した。神戸製鋼が開発した接合法を、ファナックがロボットシステムに組み上げた。他の機械的接合法よりも装置が小型になる他、接合コストを安くできる。両社は異種金属で構成する…
-
トヨタ「86」の部品をCNFで試作、フード系の大物部品を4割以上軽く
環境省の「NCV(ナノセルロース自動車)プロジェクト」が、“セルロースナノファイバー(CNF)製スポーツカー”を開発した。トヨタ自動車の小型スポーツカー「86」をはじめ鋼材を主体とするクルマのボディーを、可能な限りCNFを使った部品(CNF製部品)に置き換える試みである。自動車分野に向けて、木材か…
-
日産が燃費・排ガス検査不正、約54%で試験条件からの逸脱・改ざん
日産自動車で、完成検査工程の燃費・排ガス測定において検査不正(以下、燃費・排ガス検査不正)が見つかった。対象は、日産自動車九州を除く国内に五つある完成車組立工場。規定外の試験条件でも有効な測定としたり、測定値を改ざんしたりしていた。驚くのは、2017年9月に完成検査不正が発覚し、コンプライアンス(…
-
トヨタの自動ブレーキ用カメラ、ソニー製CMOSセンサーに変更
トヨタ自動車が、先進運転支援システム(ADAS)「Toyota Safety Sense(TSS)」に使う単眼カメラのCMOSイメージセンサーをソニー製に変えたことが分かった。CMOSセンサーの変更によって、同システムの主要機能の一つである自動ブレーキで、夜間の歩行者検知を可能にした。
-
ホンダの軽自動車「N-VAN」、ドアに1.5GPa級鋼板を初採用
ホンダが2018年7月に発売した新型の商用軽自動車(軽バン)「N-VAN」は、荷物の積み下ろしを容易にするために、助手席側のセンターピラーを省いて開口部を広くした。センターピラー無しで側面衝突に対応するために、ドアのフレームに1.5GPa級のいわゆる超高張力鋼板を使って同ピラーの役割を代替させた。…
-
パナソニックの電池戦略、最大手“CATL”と技術で差異化
パナソニックのオートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)社は2018年7月、今後の事業戦略を報道機関向けに説明した。登壇した社長の伊藤好生氏は「2021年度に自動車部品メーカーでトップ10入り」の目標について「(達成は)難しくない」と自信を見せた。2021年度の売上高を2017年度の1…
-
超小型EV分野に挑むパナソニック、民生の知見をプラットフォームに
カーナビゲーションシステム、ETC(自動料金収受システム)車載器、ドライブレコーダーなど、これまでも自動車用の機器を製品化してきたパナソニック─。そんなパナソニックが次に狙うのが、2輪車・超小型車・軽自動車といった超小型の電気自動車(EV)向け電動プラットフォームである。
-
トヨタが国内車種の再編に本腰、新型カローラとクラウン、同時発売
トヨタ自動車は国内で車種数を減らし、開発と販売の効率を高める。新型「カローラ」の投入に併せて、国内で「オーリス」の販売をやめた。新型「クラウン」では、3車種構成から1車種に減らす。ともに世界共通プラットフォーム(PF)を採用した。国内市場の縮小に備えるとともに、限られた開発資源を競争が激しい分野に…
-
Boschが2輪車で安全運転支援、自動ブレーキは慎重に検討
2輪車の死亡事故のリスクは4輪車の20倍―。課題解決に向けて動いたのが、ドイツ・ボッシュ(Bosch)である。2輪車の前方と後方にミリ波レーダーを搭載することで、死角検知や衝突警告といった機能を実現した。2輪車大手のイタリア・ドゥカティ(Ducati)とオーストリアKTMが採用を決め、2020年に…
-
超希薄燃焼エンジンの有力技術、IAVが“激安”プレチャンバー提案
ガソリンエンジンの熱効率を飛躍的に高める希薄燃焼(リーンバーン)―。実現手段の一つとして注目を集めるのが、プレチャンバー(副燃焼室)燃焼技術である。低コストで二酸化炭素(CO2)排出量を大きく減らせる“費用対効果”が高い技術で、2020年以降にエンジンの主流になる可能性を秘める。