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 ドイツBMWが新たにラインアップに加えた新型の「8シリーズ」4ドアクーペ(グランクーペ)は、同社が掲げるプレミアムセグメント戦略の旗艦モデルとしての位置付けだ。最上位クラスに当たり、価格は最も安いグレードでも1152万円と1000万円を超える。3m超のホイールベースが特徴の1つで、クーペスタイルのデザインと運動性能にこだわった(図1)。全長が長く低速域での旋回性能が悪くなるといったデメリットを低減するために、後輪操舵(そうだ)技術を採用。ホイールベースが約30cm短くなったのと同等の効果が見込めるという。

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図1 8シリーズ4ドアクーペの外観
(a)フロントビュー。クーペのようなデザインでありながら4枚のドアを持ち、セダン並の室内空間を確保した。(b)リアビュー。ホイールベースは3mを超える。車両寸法は、全長5085×全幅1930×全高1400mm。(撮影:日経Automotive)

 BMWの日本法人ビー・エム・ダブリューは2019年10月、新型8シリーズ グランクーペを日本で発売した。

 8シリーズ グランクーペはBMWの最上位クラスに当たる同シリーズにおいて、「クーペ」「カブリオレ」に次ぐ新たなモデルとしてラインアップに追加されたものだ。クーペのようなデザインでありながら4枚のドアを持ち、セダン並の室内空間を確保した。

 そのため、グランクーペは同クーペと比べると、ホイールベースが205mm長く3025mmと3mを上回る。これは、4ドアでクーペスタイルといった車格で競合に当たる、ドイツ・ダイムラー(Daimler)の「メルセデス・ベンツ CLS」と比較しても約85mm長い。

 ホイールベースを長くすると室内空間を広くできるといったメリットがある半面、デメリットも生じる。第1に、低速時の旋回性能が悪くなる点だ。

 この課題を解消するために、8シリーズ グランクーペでは後輪操舵の技術を採用した。後輪操舵は、後輪も前輪同様に操舵できる機能だ。車速やステアリング操作による前輪の操舵角などから適切な後輪の操舵角を算出する。主に低速域では前輪と後輪の向きを逆位相にして旋回性能を高め、高速域では前輪と後輪を同位相にして安定性を高める。フランス・ルノー(Renault)の小型車「メガーヌR.S.」が搭載しているが、採用している車種は少なく珍しい。

 後輪の操舵角が大きいほど低速域での旋回性能は高まるが、運転者が車の挙動に違和感を感じやすくなると言われている。8シリーズ グランクーペの場合は後輪の操舵角を最大3度に設定し違和感を感じにくくした。旋回性能は、30cm程度ホイールベースが短くなったのと同等の効果が見込めるという。

 第2に、ボディー剛性が低下してしまうという点だ。センターコンソール部分を炭素繊維素材で補強することで、剛性を高めた(図2)。

図2 骨格に使用した素材の例
図2 骨格に使用した素材の例
ホイールベースを長くしたことから、ボディー剛性を強めるために、ボディー中央の黒い部分を炭素繊維素材で補強した。ピンク色は超高張力鋼板、オレンジ色は多層鋼板、緑色はアルミニウム合金。(出所:ビー・エム・ダブリュー)
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