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 スウェーデン・ボルボ(Volvo Cars)の日本法人ボルボ・カー・ジャパン(以下、ボルボ)は2019年11月、8年ぶりに全面改良したセダンの「S60」を投入した(図1、2)。トヨタ自動車の「クラウン」といった国産の大型セダンからの乗り換え需要を狙い、新規顧客を開拓する。

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図1 8年ぶりに全面改良したセダン「S60」の外観
(a)フロントビュー。車両寸法は全長4760×全幅1850×全高1435mm。ホイールベースは2870mm。(b)リアビュー。(出所:左はボルボ、撮影:右は日経Automotive)

 新型車は中型車向けプラットフォーム「SPA」を採用したモデルだ。デザインを一新し、前モデルよりも全幅を15mm狭くして、全長を125mm拡大。全高を45mm下げて、セダンとクーペの両方をカバーするデザインとした。パワートレーンは、ガソリンエンジンが2種類、プラグインハイブリッド(PHEV)が2種類の計4種類を用意(図3)。電動化推進の一環として、S60ではディーゼルエンジン車を設定していない。

図2 インパネ
図2 インパネ
センターコンソールに大型のディスプレーを備えている。(撮影:日経Automotive)
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 ボルボは次の一手として、セダンタイプの販売に力を注ぐことを決めた。安定して日本で年間2万台を販売できるようにするために、新規顧客の開拓に注力して盤石な態勢を整えたいといった考えがあるからだ。

 輸入車のなかでも、ボルボの販売は好調だ。日本自動車輸入組合がまとめた2019年度上半期(2019年4月~9月)の数値を見ると、同社の登録台数は9173台で前年同期比8.7%増。ドイツBMWや同フォルクスワーゲン(Volks-wagen:VW)が前年同期比でマイナス成長だったのに対し、輸入車におけるシェアも伸ばした。そのけん引役となったのが、SUV系の「XC」シリーズだ。ボルボによると、販売台数の半数以上をXCシリーズが占めているという。

 そこでセダンを投入することで、これまでとは違う顧客層を広げ、着実に販売台数を伸ばすことを狙う。