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 ホンダが日本で2020年2月に発売した新型セダン「アコード」。先代車までは、外観を市場によって変えていたが、10代目となる新型車では、外観は基本的にグローバルで共通とした。ただ、日本向けのアコードは、米国向けや中国向けとバンパーの翼状の張り出し部の形状が異なる。歩行者安全基準が少し厳しい日本に合わせた。

 新型アコードでは、バンパーの下端が翼状に張り出しており、左右に屈曲部が1つずつ設けられている(図12)。同車の開発責任者を務めた本田技術研究所オートモービルセンターの宮原哲也氏によれば、その屈曲部が日本向けの方が少し前方に突き出しているという。その理由は、不幸にも歩行者と衝突してしまった場合に、足元を払いのけることで、より高い確率で歩行者の頭部をボンネットで受け止められるようにするためだ。日本向けの新型アコードでは衝突時にポップアップして衝撃を吸収するボンネットを標準装備している。

図1 ホンダの日本向けの新型セダン「アコード」
図1 ホンダの日本向けの新型セダン「アコード」
外観は基本的にはグローバルで共通。価格(消費税込み)は465万円で、月間300台の販売を計画する。(撮影:日経Automotive)
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図2 バンパーの翼状の張り出し部
図2 バンパーの翼状の張り出し部
日本向けは米国や中国に向けたモデルより屈曲部(赤丸で示した部分)が車両前方に突き出している。(撮影:日経Automotive)
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 実は、新型アコードは、米国、中国、アジア諸国、オーストラリアには投入済み。アジアとオーストラリアに向けたモデルも、日本向けと同様のバンパー形状を採用している。アジア・オーストラリア向けのモデルは、いずれもタイのアユタヤ工場で生産しており、日本向けのモデルも同工場で生産する。日本の狭山工場や鈴鹿工場で分けて生産するより、アユタヤで一括して生産したほうが、生産効率が高いと判断したからだ。ホンダ日本本部長の寺谷公良氏によると、タイの量産品質は日本と比べてもそん色がないという。

 新型車から外観形状を基本的に共通としたのは、市場によって求めるデザインにあまり差がないとの判断から。宮原氏は「昔は、アジア市場ではゴージャスでメッキが施されたものが好まれると言われていた。でも最近は、欧米と同じものをなぜ出さないと言われる」と打ち明ける。

 新型アコードは、若い人たちに買ってもらいたいということから、外観の格好良さを追求した。それが功を奏し、米国でも中国でも“格好いい"という理由で若い購入者が増えているという。そこにデザインの好みの違いはないと明かす。そうした若い層への広がりで、新型アコードは、中国における2019年の販売台数でドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)の「パサート」を抜いてアッパーミドルセダンのセグメントでトップ。その販売台数は20万台を超える。