ダイハツ工業は2020年6月、SUV(多目的スポーツ車)タイプの新型軽自動車「タフト」を発売した(図1)。同社の車両開発手法「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を適用した車両の第3弾となる。新型ステレオカメラを搭載して自動ブレーキを夜間歩行者に対応させ、予防安全性能を強化した。パワートレーンではコストの増加を抑えるため、自然吸気(NA)エンジン車と過給エンジン車で搭載する変速機を変えた。明るくて開放感のある車内や広い視界を実現するため、前席上部の屋根をガラス製にした。
ダイハツは約3年半ぶりに、先進運転支援システム(ADAS)「次世代スマートアシスト」で使うステレオカメラを刷新した。この新型カメラを、今回の新型車に初めて搭載した。ステレオカメラを刷新したことで、新型車の自動ブレーキを夜間歩行者に対応させた。カメラのサプライヤーは、従来と同じデンソーである(図2)。
デンソー製のステレオカメラは、ダイハツが部分改良して16年11月に発売した軽自動車の先代「タント」から、新型車への搭載が始まった。DNGA適用車では第1弾の現行「タント」や、第2弾となる小型車「ロッキー/ライズ」が、デンソー製のステレオカメラを搭載する。ただ、同カメラを搭載するこれらの車両の自動ブレーキが対応するのは昼間の車両や歩行者だけで、夜間歩行者には対応できていなかった。
軽自動車の自動ブレーキでは既に、ホンダの「N-BOX」や「N-WGN」、「N-VAN」、スズキの「ハスラー」や「エブリイ」など、日産自動車の「デイズ」や「ルークス」などが夜間歩行者に対応している。今回の新型車の投入でダイハツは、自動ブレーキの夜間性能でこれらの競合車に追い付いた。