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 日産のe-POWERは、シリーズ方式を採用している。エンジンは駆動用ではなく発電のみに使用し、モーターだけで駆動する。市街地では燃費が良くなるものの、モーターの回転数が上がって効率が落ちる高速域では燃費が伸びにくい。

 一方、シリーズパラレル方式のE-TECH HYBRIDはモーターとエンジンの両方を駆動に使い、走行状態によって出力配分を制御する(図2)。高速域ではエンジンが主体で駆動するが、「積極的にモーターを使うように制御している」(ルノー・ジャポンの担当者)という。エンジンで電池を積極的に充電し、モーターがエンジンを補助する。

図2 アルカナのパワーユニット
図2 アルカナのパワーユニット
総合出力(メインモーター+エンジン)は最高出力105kW。(写真:日経Automotive)
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 実際に試乗すると、100km/hの速度域でもエンジンで発電機を回して電池の充電量を回復させたり、モーターのみで走行したりすることがあった。その際、エンジン音はほとんど気にならなかった(図3)。

図3 走行中の様子
図3 走行中の様子
メーター内では、モーターとエンジンの駆動力配分などハイブリッドシステムの状況を分かりやすく映し出す。(写真:日経Automotive)
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 フランスRenault(ルノー)がシリーズパラレル方式を採用した理由は、燃費以外にもある。高速域での力強い走りだ。同社の主戦場である欧州では、ほとんどの高速道路の最高速度が日本よりも速い。そこでルノーは、エンジンとモーターの片方のみではなく、2つを両立させることで、100km/h超の高速域での加速性能の向上を目指した。

 高速域での燃費と加速性能を実現するため、E-TECH HYBRIDはエンジンと駆動用モーターの動力配分を12通りに制御できる機構を採用した。

 アルカナに搭載したシステムは、最高出力69kWで最大トルク148N・mの直列4気筒エンジンと最高出力36kWで最大トルク205N・mの駆動用モーター、「HSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)」と呼ぶスターター兼発電機、ドグクラッチを使う変速機構、容量1.2kWhのリチウムイオン電池などから成る。

 これらのうち、技術の肝となるのがドグクラッチを採用した変速機構だ。駆動用モーターに2速、エンジンに4速のギアを搭載し、それらをドグクラッチがつなぐ。

 12通りの組み合わせはこうだ。単一の駆動力のみで走行する状態が、駆動用モーターの2通りとエンジンの4通りで計6つ。駆動用モーターとエンジンの両方を使う組み合わせは単純計算で8通りになるが、同じギア比の組み合わせがあるため「ギア比の違いでは6通り」(ルノー・ジャポンの担当者)。これらを合計して、12通りとなる。この12通りのモードを走行状況に合わせて切り替えることで、モーターとエンジンがそれぞれ得意領域で性能を発揮し、燃費の改善と加速性能の良い走りを実現した。

 ただドグクラッチには、変速時の音や振動が大きいという欠点がある。爪のかみ合いで締結するドグクラッチは、互いの回転をそろえる同期作業が難しいためだ。この課題を解消するためにルノーが用意したのがHSGだ。

 本来はスターターや発電機の役割を担う補助モーターだが、ドグクラッチをタイミングよく締結する用途にも使う。HSGが回転数を合わせることで、エンジン側の4速のギアをかみ合わるタイミングを制御している。実際に試乗してもシフトショックを確認することはほとんどなかった。

 なおアルカナは、ルノー、日産、三菱自動車の3社連合(アライアンス)で開発したモジュラープラットフォーム「CMF-B」を採用する。1.6Lエンジンは、アライアンスエンジン「HR16」を改良したものだ。価格は429万円(消費税込み)となる。今後ルノー・ジャポンは、E-TECH HYBRIDを他のモデルにも展開するとしている。