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 欧州Stellantis(ステランティス)の日本法人Stellantisジャパンは2022年10月にCitroen(シトロエン)「C5 X」を発売する(図1)。Stellantisジャパン、マーケティング部プロダクトマネージャーの水谷昌弘氏によると「C5 Xの特徴は乗り心地の良さだ」という。純機械式ダンパーシステムである「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)」を全車標準装備し、乗り心地の向上を図った。

図1 新型C5 X
図1 新型C5 X
セダン、ステーションワゴン、SUV(多目的スポーツ車)を融合したデザインが特徴だ。(写真:日経Automotive)
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 シトロエン車の持ち味は乗り心地の良さだ。これまで「2CV」のマスダンパーなど快適な乗り心地をサスペンションシステムで追求してきた。その中でも、有名なのは「魔法の絨毯(じゅうたん)の乗り心地」といわれた「ハイドロニューマチック」だ。窒素ガスと専用オイルを使用した空油圧式サスペンションである。

 ハイドロニューマチックは、窒素ガスと専用オイルを満たしたスフィアという球がサスペンションにつながるピストンを備えている。窒素ガスは一般的な機械式サスペンションのスプリング、専用オイルがダンパーとしての役割を持つ。ただ、しなやかな乗り心地を実現する半面、仕組みが複雑なために「耐久性が低く、故障も多かった」(水谷氏)という。2015年に生産を終了した先代型「C5」にもハイドロニューマチックを進化させた「ハイドラクティブIIIプラス」を採用していた。ハイドラクティブIIIプラスでも「耐久性において顧客の不満があった」と水谷氏は語る。

 そこで「ハイドロニューマチックのしなやかな乗り心地を再現しつつ、信頼性も損なわないシステムを考えた結果、たどり着いたのがPHCだ」(水谷氏)という。通常のダンパーだと、大きくストロークした場合、ゴムやウレタン製のバンプラバーが路面からの衝撃を吸収するが、ストローク時のエネルギーを十分に減衰することができず、反発力となり乗り心地が悪くなることがあるという(図2)。

図2 通常ダンパーの構造
図2 通常ダンパーの構造
大きなショックを入力した際、PHCより先にバンプラバーに到達してしまう。(出所:Stellantisジャパン)
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