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 ホンダが2023年4月に発売する多目的スポーツ車(SUV)「ZR-V」(図1)。ハイブリッド車(HEV)の「ZR-V e:HEV」には四輪駆動(4WD)車を設定する。昨今のHEVは、前後に独立したモーターを配置して4WDとする車種が増えている。ただZR-V e:HEVの4WD車は、車両前部のパワートレーンからの駆動力を、プロペラシャフトを通じて後輪に伝える方式を採用する。4WD車の車両質量を抑制しつつ、高速域でも安定して後輪のトルクを出せるのが特徴だ。

図1 ZR-V e:HEV
図1 ZR-V e:HEV
HEVの他に排気量1.5Lのターボエンジン車の設定もある。(写真:日経Automotive)
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 ZR-V e:HEVは、2モーター式ハイブリッド機構「e:HEV」を採用(図2)。e:HEVは、街乗りなどの低・中速領域では一般的なシリーズ方式と同様にエンジンで発電し、その電力を使いモーターのみで駆動する。ただし、エンジン駆動のほうが効率が優れる高速域では、クラッチを介してエンジンを車輪と直結させて駆動する。基本的にパワートレーンは2022年7月発売の「シビックe:HEV」と同様だ。

図2 ZR-V e:HEVのエンジンルーム
図2 ZR-V e:HEVのエンジンルーム
基本的にはシビックe:HEVと同じパワートレーンだが、4WD車を設定しているのが特徴だ。(写真:日経Automotive)
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 ただシビックe:HEVとの大きな違いは、4WD車を設定したことだ。「雪の降る地域から、HEVの4WD車が欲しいという声が多くあった」とホンダ四輪事業本部ものづくりセンターLPLチーフエンジニア小野修一氏は語る。そのため、プラットフォームは基本的にシビックをベースとしているものの、リアサスペンションや車両後部のフロア周りのボディー骨格などは、2022年に北米で発売した新型「CR-V」と共通化した。CR-Vは、FF(前部エンジン・前輪駆動)車と共に、4WD車も用意する。