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ホンダ「NSX」用のエンジン「JNC1」(以下C1)。1回目の冷却、2回目の潤滑に続き、3回目は燃焼を中心に解説する。C1はポートの形状を工夫してタンブルを強めた。さらに直噴とポート噴射を併用する。ただし使い分けは他社とは違う。

 C1の燃焼の特徴はタンブルを強めたことと、燃料噴射弁を気筒当たり2本装備したことである(図1)。

図1 シリンダーヘッドの断面図
図1 シリンダーヘッドの断面図
直噴用、ポート噴射用にそれぞれ1本ずつの噴射弁を装備する。空気の流れはポート内を斜め下に向かってから水平近い角度まで跳ね上がる。
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 タンブルは吸気ポートの形状を工夫して強めた。吸気の流れはポート内を斜め下に向かってから水平近い角度まで跳ね上がり注1)、吸気弁に入る。吸気弁の上側に流速の速い空気が多く流れ、タンブルが強くなる。

注1)方向の表現はシリンダ軸を垂直としたもの。前回紹介したようにVバンク角は75度だから、実際には37.5(75/2)度傾く。

 タンブルで燃料と空気を混合させ、圧縮上死点付近での乱流エネルギーを高めることによって急速安定燃焼を実現した。従来の「JNB1」(以下B1)エンジンに対して、バルブリフトのすべての領域でタンブル比(クランク軸1回転当たりのタンブル回転数)が2倍以上になった(図2)。

図2 タンブル比の実測結果
図2 タンブル比の実測結果
実線がC1、破線がB1。リフト量によっては数倍の差がある。
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