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高度な自動運転を実現するには、ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)技術を用いた画像認識の活用が重要になる。DNN技術を用いて高速推論を可能とするデバイスやエンジンは数多く存在する。その特徴や課題などについて、デンソーと協業するモルフォが解説する。(編集部)

 今日のAI(人工知能)ブームの立役者となったディープラーニング(深層学習)技術の隆興は、2010年代初頭に始まった。「ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)」は画像認識、音声処理、自然言語処理などの様々な産業分野への適用が試みられており、目覚ましい成果を上げている。

 自動車分野では、先進安全運転支援システム(ADAS)への画像認識技術の適用が、その一つである。本稿では、車載用画像認識技術、その中でも今後の自動車産業におけるオンデバイスAIの動向を占うDNN技術と、その計算を支えるプラットフォームの現状について紹介する。

画像認識のADASへの展開

 画像認識のADASへの応用の先行事例としては、日米欧の自動車メーカーに画像処理SoC (System on Chip)注1)を供給しているイスラエル・モービルアイ(Mobileye)がある。専用チップ上でカメラや距離センサーなどの情報を利用して、白線や車両の検出、自動追従などを実現する1)。モルフォでも現在、デンソーと共同で技術研究をしており、その一例として(1)セマンティックセグメンテーションと物体検出、(2) デプス推定──に取り組んでいる(図1)。

注1)SoCとは、装置やシステムの動作に必要な全ての機能を、1つの半導体チップに実装する方式のこと。

図1 デンソーとの取り組み事例
図1 デンソーとの取り組み事例
上段は入力画像。中段はデプス推定の結果。距離に応じて着色した。下段はセマンティックセグメンテーションの結果であり、道路や車両などラベルごとに色分けした。
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 このうち、前者のセマンティックセグメンテーションと物体検出は、画像上の「どこに何が」存在しているかを認識する技術である。カメラで撮影した歩行者や車両、白線の検知などに応用できる。後者のデプス推定とは、1枚の画像からカメラと物体との距離を推定する技術である。

 近年ではステレオカメラではなく、単眼カメラから得た1枚の画像から距離を推定する単眼デプス推定が登場している。ステレオカメラに比べてコストを抑えられるなどの利点があり、超音波センサーやLIDAR(レーザーレーダー)などと比較しても、運用コストや検知範囲などの観点から利点が多い。

 クルマが高度な認知機能を獲得するためには、優れた「眼」と「頭脳」が必要となる。ここでクルマの眼となるのがカメラであり、頭脳となるのがDNN推論モデルとそれを支える計算プラットフォームである。