自動運転車に電気自動車(EV)、そしてシェアリングサービス。自動車業界の「CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)」を巡る動きは企業の株価を大きく左右し、一種の「バブル」ともいえる状況になりつつある。過熱する開発競争の陰で、自動運転車による死亡事故も起き始めた。トヨタはCASEバブルの激流を受け止めながらも、「安全性」や「信頼性」という最優先事項を守り切れるのか。対応次第ではグループ全体の命運も左右されかねない。

特集
正念場のトヨタ
CASEバブルに立ち向かう
目次
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自動運転ブームとどう向き合うか
part1 安全性と信頼性を死守せよ
「所有」から「利用」へ―。次世代車の開発が曲がり角を迎えている。トヨタは「モビリティーサービスのプラットフォーム企業になる」と宣言した。富の源泉となる「データ」を握り、MaaS市場での覇権を目指す。ただ、ブームに流されない慎重さも大切だ。ウーバーの死亡事故を機に、本当に安全性や信頼性を守れるのか、再…
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パワー半導体など内製技術で差異化
part2 どう付加価値を高めるか[デンソー]
デンソーは今後の電動化時代に、熱エネルギー管理技術や得意の内製技術で勝負をかける。同社常務役員エレクトリフィケーションシステム事業グループ長の篠原幸弘氏は、「電動化は当社にとっては、むしろ強みを発揮しやすい」と自信を見せた。
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EPSは自動運転車の“頭脳”になる
part2 どう付加価値を高めるか[ジェイテクト]
「電動パワーステアリング(EPS)を自動運転車の“小脳”のような存在にしたい」―。ジェイテクト常務執行役員ステアリング事業本部本部長総括の松岡浩史氏は、自動運転システムを人間の脳に見立てて、EPSを反射的な処理を担う“小脳”と表現する。
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ESCに統合制御を取り込む
Part2 どう付加価値を高めるか[アドヴィックス]
アイシングループで自動車用のブレーキシステムを手がけるアドヴィックスは、自動運転時代に欠かせない車両の統合制御技術に注力している。同社専務取締役技術開発部門の五島貴弘氏は、「統合制御の領域を獲得できなければ、部品メーカーとしての成長は難しくなるだろう」と危機感を募らせる。