PR

トヨタ自動車が2017年10月に投入した新型のタクシー専用車両「JPN TAXI」。市場ニーズの変化を受けて、従来のセダンタイプから小型ミニバンに刷新した。新開発のLPG(液化石油ガス)ハイブリッド(HEV)の採用や、部品耐久性の向上などで、維持コストを4割低減。高齢者や車いすでも使いやすい車両を目指し、快適性の向上にも力を入れた。

写真提供:トヨタ自動車
写真提供:トヨタ自動車
[画像のクリックで拡大表示]

 タクシー車両は維持コストを可能な限り抑えなければならない。1日当たり300km以上走行するタクシーは、乗用車に比べて維持コストが負担となる。トヨタが開発した新型タクシーは、三つのポイントから維持コストの削減を図った。燃料費が安価なLPG-HEV機構の採用、部品の交換頻度を減らすための耐久性の向上、そして、外装部品の交換性の向上だ。

 新型タクシー注1)は、一般的なセダンタイプのタクシー専用車両「コンフォート」と比べて、「5年間(50万km走行)で約300万円のコスト削減が可能になる」(トヨタTC製品企画ZPチーフエンジニアの粥川宏氏)という。燃料費や部品交換費などの維持コストだけなら、コンフォート比で約4割減らせることになる。

注1)これまでのタクシー専用車両は5種類だった。トヨタ自動車の「コンフォート」「クラウンコンフォート」「クラウンセダン」、日産自動車の「セドリックセダン」「クルー」である。

 一般的なタクシー専用車両は、ほとんどがLPGエンジンを採用している(図1)。燃料費注2)がガソリンに比べて5割ほど安価だからだ。新型車の燃費は19.4km/L。ベース車両でガソリンHEVの「シエンタ」の27.2km/Lと比較すると燃費性能は下がるが、100km走行当たりの燃料費で比べると約3割安くできる(JC08モード燃費)。

注2)2018年1月時点、東京都での販売価格で比較。LPG価格69.13円/L(出所:日本LPガス協会)。ガソリン価格143.4円/L(出所:経済産業省資源エネルギー庁)。
図1 日本の主なタクシー
図1 日本の主なタクシー
1980年に約34.3億人だった日本のタクシー・ハイヤーの年間利用者数は、2015年には約14.7億人と半数以下に激減した。市場縮小に歯止めをかけようと、トヨタ自動車は快適性と経済性を追求した「JPN TAXI」を投入。LPG-HEVの搭載によって燃費は19.4km/Lとなった。2020年をめどに、都内を走るタクシーの3割(約1万台)を置き換える計画だ。グラフは各車両の最終フルモデルチェンジ車で燃費を比較。2001年発売のクラウンセダンまでは10・15モード燃費、それ以降の発売車両はJC08モード燃費。(出所:国土交通省の資料を基に編集部が作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 エンジンは排気量1.5Lで直列4気筒の「1NZ-FXP」型を搭載する(図2)。シエンタに搭載するエンジン「1NZ-FXE」型をLPG仕様に再設計した。専用設計なのはシリンダーヘッド部分だ。メンテナンス性を高めるためにバルブなど動弁系の機構を変更。さらに、補機ベルトのメンテナンスが不要な電動ウォーターポンプを採用するなど、維持コストの負担を減らした。同エンジンにトヨタのHEVシステム「THS Ⅱ」注3)を組み合わせている。

注3)エンジンの動力を分割機構で2分割し、一方で直接車輪を駆動。もう一方は発電用にモーターを駆動させ、電池充電にも使う。
図2 維持コストを抑える技術を盛り込む
図2 維持コストを抑える技術を盛り込む
三つのポイントから経済性を追求した。LPG(液化石油ガス)ハイブリッド(HEV)機構の採用、部品交換頻度を減らすための耐久性の向上、外装部品の交換性向上だ。(a)LPGエンジンとトヨタ「THS Ⅱ」を組み合わせたパワートレーン、(b)ボディーとプラットフォーム。
[画像のクリックで拡大表示]

 最高出力は54kWで、最大トルクは111N・m。シエンタや「アクア」と共通化した駆動用モーターの出力は45kWだ。駆動用として床下に搭載するニッケル水素電池パックは、シエンタと共通の仕様となる。