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世界販売台数を下方修正、収益を重視

 マツダの新たな中期経営方針には、最終年度となる2024年度の世界販売台数を、180万台に下方修正することも盛り込んだ。これまでの目標から20万台減らす。その最大の理由は、収益性の改善とブランド価値の向上である。販売台数を確保するためにインセンティブを増やしすぎると、収益悪化の原因になる。また、値引きしないと売りにくくなり、ブランド価値が下がる。

 そこで同社は新たな経営方針の下で、販売台数を優先する手法と決別する。ただ、トヨタと共同で建設中の米アラバマ州の工場が稼働すれば、マツダの世界生産能力は年間200万台規模になる。「販売台数が上振れすれば、増産で対応できる」と丸本氏はいう。

 こうした取り組みによって、2024年度には売上高で4兆5000億円、利益率で5%以上を目指す。売上高は2018年度に比べて約26%の増加、利益率は約2倍の改善となる。

北米と欧州の収益改善が急務

 利益率の改善を急ぐのは、マツダだけではない。他社も収益悪化に苦しんでおり、特に北米と欧州が深刻な状況にある。

 前述したように、過剰なインセンティブの投入による販売競争の激化によって、各社の北米事業は苦戦する。2018年度の実績を見ると、トヨタや日産などが2017年度に比べて販売台数を減らした。2019年度もトヨタや日産、ホンダなどが、2018年度に比べて減少を計画する。ディーゼル車離れや燃費規制の強化などによって成長が鈍る欧州でも、2018年度にトヨタや日産、ホンダ、スズキなどが販売台数を減らした。2019年度も日産やホンダ、スズキなどが減少を計画する。

 その結果、トヨタの北米事業の利益率は、2018年度の実績でわずか1.3%だった。会社全体の利益率の1/6以下だ。日産の北米事業の利益率も、2018年度は1.1%にとどまる。会社全体の利益率に比べて1/2以下の低水準である。一方、欧州事業では2018年度に、日産やホンダなどが赤字に沈んだ(図9)。

図9 北米・欧州事業の営業利益と利益率(2018年度)
図9 北米・欧州事業の営業利益と利益率(2018年度)
各社とも北米・欧州事業の利益率は低い。日産とホンダの欧州事業は赤字となった。( )内は利益率。各社の発表データを基に日経Automotiveが作成。
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 日本の自動車メーカーには、収益が悪化する既存事業を立て直しながら、電動化や自動運転といったCASEに対応する研究開発を加速することが求められる。2025年への持続的な成長に向けて、各社は難しいかじ取りを迫られている。