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 日産自動車が生産現場の技術革新に乗り出した。これまでは内製技術で対応してきたが効果が限られていた。人工知能(AI)や計測技術などのスタートアップと連携することで、外の力を取り込む。主力のエンジン工場である日産横浜工場の挑戦が始まった。

写真:日産
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 「従来の延長線上にない破壊的な技術が求められている」─。INCJ代表取締役会長(CEO)の志賀俊之氏は、2019年6月に日産自動車の横浜工場で開いたプライベート展示会「ベンチャー企業展示会」注1)でこう述べた。内燃エンジンや電動パワートレーンを量産する横浜工場は、組み立てや機械加工など、ほとんどの技術を内製している。しかし、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の潮流に対応するためには、「自前主義から脱却し、ベンチャーの“尖った技術"が必要」(日産常務執行役員の村田和彦氏)とする。

注1)日産のベンチャー企業展示会は、今年が2回目。2018年に開催した第1回は、INCJの「売り込み」がほとんどだったため、日産のニーズに合わず、見送りとなった案件も多かった。これに対し第2回では、第1回で有効性を確認できたベンチャー企業に、日産が選定したベンチャー企業を加えた計7社の技術を展示した。

 すでにエンジンの量産にベンチャーの技術を活用し始めた。一見すると、CASEとは関わりがないように思えるが、ベンチャーの技術は量産ベースの工場に適用した方が、「即効性がある」(村田氏)。これを「呼び水」として、今後の中長期的な技術革新につなげていきたい考えだ。これまで自前主義で内向きだった社内に意識改革を促す狙いもある。

 ベンチャーにとっては、量産現場が抱える生の課題を直接知る好機になる。開発と量産の間に横たわる「死の谷(デスバレー)」を越えるためのヒントをつかめる。INCJは日本のベンチャー育成には大手企業との連携が重要と考えており、「今回のような協業を日本中でやるべきだ」(志賀氏)と主張する。実際、INCJは2019年度中に日産以外の自動車メーカーや家電/精密機器メーカー数社と、今回のようなベンチャー企業との連携イベントを予定しているという。