自動運転車が普及すると、クルマの安全機能は大きく変わる。シートベルトやエアバッグに新たなデザインが求められるほか、自動運転車であることを周囲に示す機能も重要になる。ドイツ・ダイムラー(Daimler)が開発した実験車「ESF 2019」には、こうした次世代の安全機能が多数搭載されている。機能によってはすぐに実用化できそうなものもある。
ドイツ・ダイムラー(Daimler)は2019年5月、次世代の安全機能を搭載した実験車「ESF(Experimental Safety Vehicle)2019」を発表した(図1)。プラグインハイブリッド車(PHEV)であるメルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)ブランドの「GLE」をベース車両とし、自動運転に対応するほか、未来のモビリティーにふさわしい多数の安全機能を搭載している。
将来、自動運転車が普及すれば、クルマの安全に対する要求が大きく変化する。例えば自動運転車では、乗員の着座位置が前後席の対面型に変わることが予測され、現在とは異なる方式の乗員保護機能が必要になる。また、道路利用者が運転者とアイコンタクトできないため、道路利用者はクルマの動きを直感的に予測することができない。ESF 2019は、こうした次世代自動車に特有の問題を解決する新しい安全機能を多数搭載した。
ここで紹介する多数の新機能はいずれも実験的意味合いが強いが、中にはすぐにでも量産車に採用できるものもある。