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写真:日経Automotive
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部品メーカーの経営統合の流れが世界的に加速してきた。国内では、ホンダと日立製作所が傘下の部品メーカー4社を統合すると発表。トヨタ自動車のデンソーは、この経営統合をどう見ているのか。

 「強力なライバルが出現し、切磋琢磨する相手ができた。と同時に、協調領域で標準化を進めていく際の話し相手(受け皿)にもなると見ている」。デンソー経営役員の松井靖氏は、2019年度上期(2019年4~9月期)の連結決算説明会でこのように述べた(図1)。

図1 デンソー経営役員の松井靖氏
図1 デンソー経営役員の松井靖氏
(撮影:日経Automotive)
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 ホンダと日立製作所は2019年10月30日、傘下の部品メーカーであるケーヒン、ショーワ、日信工業、日立オートモティブシステムズの4社を経営統合すると発表した。

 経営統合の動きについて松井氏は、「大規模な開発投資や設備投資ができること、ニッチなサブシステムではなく車両統合プラットフォームとサブシステムのすべてをターンキーソリューションとして提供できることが、この業界で生き残るための条件だ。ホンダ・日立系の部品4社が経営統合するのは自然な流れであり、自動車部品業界の合従連衡はこれからも進むだろう」と述べた。

 「企業分割を進め、開発負担の重い事業と、安定して収益を生む事業を分け、経営方針を明確にして株価の上昇を期待する動きもある。ただ、この場合、提供できるシステムの範囲が狭くなり、投資規模も小さくなるため、自動車メーカーの幅広い要求に応えることは難しくなる」(同氏)とも指摘した。

 電動化や自動運転に対応するためには、部品メーカーが巨額の開発費を負担しなくてはならない。このため、「なんでも競争というわけにはいかなくなる」(同氏)。協調領域と競争領域を分け、協調領域は「標準化されたベースプラットフォームを提供することが重要だ」(同氏)。もちろん、話し合いはこれからだが、考え方が一致すれば、ホンダ・日立系の部品会社とも協調していく可能性を示した。

 デンソーもトヨタグループ内での統合や再編を進めている。2019年4月には、アイシン精機と合弁で電動アクスルを手掛けるBluE Nexus(ブルーイーネクサス)を設立したほか、アイシン、アドヴィックス、ジェイテクトと共同出資でソフトウエア新会社J-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)を立ち上げた。2020年4月にはトヨタの広瀬工場における電子部品の生産をデンソーに集約するほか、トヨタと合弁で次世代車載半導体の研究開発会社を設立する。

 ホンダ・日立系4社の統合に伴い、ケーヒンは空調事業を第三者に譲渡する予定だが、この点に関して「勝機につながる」(松井氏)との認識を示した。これまで以上にエアコンなどの空調部品をホンダ向けに提供していくほか、空調技術を応用した熱エネルギー管理システムも提案する。熱やエネルギーの統合管理は、今後の電動車や自動運転車で重要なほか、パワートレーンとの一体制御も求められるため、「総合システムメーカーとしての強みを発揮できる」(同氏)とみる。