全4387文字
PR

日産自動車が世界初の量産EV「リーフ」を出して9年。世界の環境規制強化にともない、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)と同様、電気自動車(EV)の本格投入が迫っている。東京モーターショーの出展から、日産やマツダをはじめとした各社の電動化戦略に迫る。

 東京モーターショー2019では、各社の電動化戦略が見えてきた。日産は電気自動車(EV)専用プラットフォームを使った次世代車、マツダは同社初の量産EVを披露した。三菱自動車は、発電用エンジンとしてガスタービンを使ったプラグインハイブリッド車(PHEV)、トヨタはインホイールモーターを備えたEVを出展した。

日産はEV専用プラットフォーム投入

 日産自動車は、EV専用の新プラットフォーム(PF)の搭載車を2020年から量産する。連合である、フランス・ルノー(Renault)や三菱自動車と共用することで、コストを低減する。同PFなどを活用し、2022年までに連合で12車種のEVを投入する方針。

 新PFを採用するEVの1つが、クロスオーバー車である。日産は、2022年までにクロスオーバーEVを発売する計画を公表済み。今回は、クロスオーバーEVのコンセプト車「アリア」を披露した(図1)。アリアの車両寸法は全長4600×全幅1920×全高1630mmである。

図1 日産自動車のコンセプトEV「ニッサンアリアコンセプト」
図1 日産自動車のコンセプトEV「ニッサンアリアコンセプト」
(撮影:宮原一郎)
[画像のクリックで拡大表示]

 アリアの特徴は、前後輪にモーターを1個ずつ搭載している点である(図2)。量産EVの「リーフ」は前輪側に1個のモーターを備える。モーターを2個に増やして4輪駆動(4WD)にすることで、「これまでにない走りを実現する」(日産副社長の中畔邦雄氏)と意気込む。

図2 日産の新EV専用プラットフォーム
図2 日産の新EV専用プラットフォーム
コンセプト車「アリア」も採用する。日産副社長の中畔邦雄氏が説明した。(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 リチウムイオン電池は床下に敷き詰める。日産はこれまで電池パックの冷却方式として、自然空冷を採用してきた。アリアを含む新PF採用車は、水冷方式に切り替える可能性が高い。「電池の性能を安定化させたり劣化を抑制したりするためには、強制的に冷却する方が良い」(EV開発担当者)と判断した。

 リチウムイオン電池の部品メーカーも見直す。日産はこれまで、株式の51%を保有していたオートモーティブエナジーサプライ(AESC)からEV用の電池セルを調達してきた。株式の売却によって、AESCは中国エンビジョン(Envision)グループの傘下に入り、2019年4月にエンビジョンAESCとして再始動した。

 日産のEV専用PFでは、「複数の電池メーカーから購買する」(同担当者)考えである。エンビジョンAESC以外の候補として有力なのが、ルノーにEV用電池を供給する韓国LG化学(LG Chem)である。

 Cセグメントのアリアに加えて、日産は軽自動車枠のEVを計画する。モーターショーではコンセプト車「IMk」を出展した(図3)。車格が大きく異なるため、「アリア向けとは別に、小型車向けのEV専用PFを用意した」(同担当者)という。軽自動車のEVだけでは生産台数が少なそうで、Aセグメントの小型車などにも適用範囲を拡大していくとみられる。

(a)
(a)
[画像のクリックで拡大表示]
(b)
(b)
[画像のクリックで拡大表示]
図3 日産の軽自動車規格のコンセプトEV「ニッサンIMk」
(a)本体、(b)内装は大型ディスプレーを採用。撮影は(a)が宮原一郎、(b)が日経Automotive。