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写真提供:SUBARU
写真提供:SUBARU

SUBARU(スバル)は2020年1月に技術説明会「SUBARU技術ミーティング」を開催し、先進運転支援システム(ADAS)/自動運転や電動化に向けた今後の方向性を明かした。ADAS/自動運転では、自動運転レベル3への高度化ではなく、レベル2の領域で安全性の向上を優先。電動化では、トヨタ自動車との連携を強化して電動車両の車種を拡充、同車両の比率を現在の数%から2030年には40%以上に高める。

 「アイサイト」を引っ提げ、ADASの搭載や高度化をリードしてきたスバル─。そのスバルが2020年後半に発売する新型ステーションワゴン「レヴォーグ」を筆頭に、新型車に順次搭載するのが、進化版となる「新世代アイサイト」だ(図1)。

図1 2020年後半に発売を計画する新型ステーションワゴン「レヴォーグ」のプロトタイプ
図1 2020年後半に発売を計画する新型ステーションワゴン「レヴォーグ」のプロトタイプ
2019年開催の東京モーターショーでお披露目した。(撮影:日経クロステック)
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 最大の特徴は、自動運転レベル3への高度化ではなく、レベル2の領域で安全性の向上にこだわった点(図2)。背後には、スバル車の価格帯を強く意識したコスト判断と、快適性よりまずは安全性という考え方が潜んでいる。

図2 アイサイトの進化の方向性
図2 アイサイトの進化の方向性
運転支援の中でも安全性を最重視して開発を進める。(出所:SUBARU)
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レーダー追加しステレオカメラを広角化

 スバルはレベル3はやらないのか─。この問いかけに対して、同社第一技術本部先進安全設計部部長の喜瀬勝之氏は、「レベル3はコストが高くなる上、快適性より安全性の向上を優先していることから、スバル車の価格帯で提供可能なレベル2にまずは取り組む」と明かす。同氏によれば、レベル3は既存のアイサイトと比べてコストは1.5~2倍といったイメージの模様。搭載しなければならないセンサー類が増えることに加えて、冗長化でコストが掛かるという。

 ただし、将来的には、価格帯の高いクルマでオプションとしてレベル3の装備を追加する選択肢は否定しない。「レベル3やレベル4に必要なノウハウの中には、レベル2を極めても獲得できないものがある」と、将来に向けてそれらの研究開発を進めておく意義をほのめかす。

 新世代アイサイトでは、後部バンパーの左右にしか搭載していなかったミリ波レーダーを、前部のバンパーの左右にも搭載する。加えて、ステレオカメラは検出可能距離を維持しながら広角化を図る(図3)。

図3 新世代アイサイトのステレオカメラ
図3 新世代アイサイトのステレオカメラ
(撮影:日経Automotive)
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 これらの強化により、自車の後方だけでなく前方についても隣接する車線まで検知可能とし、見通しの悪い交差点での出合い頭や右左折時を含めて衝突被害軽減ブレーキ「プリクラッシュブレーキ」を作動させられるようにする(図4)。さらに、ステアリングによる衝突の回避や被害軽減の機能も持たせる。

図4 新世代アイサイトの新たな機能
図4 新世代アイサイトの新たな機能
(出所:SUBARU)
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 喜瀬氏によると、前部バンパーの左右に配したミリ波レーダーは、自車の横方向の障害物をステレオカメラよりも広い範囲で捉えられる。その情報をステレオカメラのECU(電子制御ユニット)に集約し、衝突の回避や被害軽減につなげるという。

 新世代アイサイトでは、現行のアイサイトである「アイサイト・ツーリングアシスト」で搭載を始めていたドライバー・モニタリング・システム(DMS)を標準で搭載する。これにより、運転者の状態に応じた対応や操作ミスへの対応を図る。

 安全面よりは優先度は低いが、快適性を高める運転支援も進化させる。具体的には、高速道路において、車線変更支援やカーブ予測自動減速、渋滞時のハンズオフに対応する(図5)。車線変更支援は、自動ではなく運転者の操作を起点とするという。高精度地図によって自車位置をより高精度に特定するロケーターを搭載し、広角化したステレオカメラやミリ波レーダーと組み合わせることで、より高度な運転支援を可能としている。

図5 高速道路における主な新機能
図5 高速道路における主な新機能
(出所:SUBARU)
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 現行のアイサイトでは、ステレオカメラだけで車両の前方を監視していた。このため、夜間歩行者にも対応する自動ブレーキや渋滞時対応のACC(先行車追従)、車線の中央維持支援などの機能には対応していたが、同一車線内における機能の提供にとどまっていた。