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自動車7社の2019年度第3四半期決算から、各社の新たな課題が見えてきた。トヨタ自動車は好業績を維持したが、他社は収益悪化から抜け出せない。新型肺炎の感染拡大という逆風も吹く。2020年度以降の成長に向けて、収益基盤を強化する各社の取り組みは正念場を迎えた。

 自動車メーカー7社の2019年度第3四半期累計(2019年4~12月)決算から、今後の成長に向けた各社の新たな課題が見えてきた。(1)縮小を続ける世界の自動車市場と円高、(2)中国発の新型コロナウイルスによる肺炎(新型肺炎)の影響、(3)部品の品質問題─の3つである(図1)。

図1 世界の自動車市場
図1 世界の自動車市場
2019年度第3四半期累計の市場規模は、前年同期に比べて5.0%減少の6530万台にとどまる。中国の落ち込みが大きい。日産自動車の資料を基に日経Automotiveが作成。
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 第1の課題である世界市場の縮小と円高によって、トヨタ自動車とSUBARU(スバル)を除く5社は、世界販売台数を減らし、減収減益に追い込まれた(図2)。日産自動車は、経営体制の混乱という課題も抱える。

図2 日系7社の営業利益
図2 日系7社の営業利益
2019年度通期の営業利益率では、トヨタやホンダ、スズキ、スバルが4%以上であるのに対して、日産と三菱自、マツダは2%以下に沈む。各社のデータを基に日経Automotiveが作成。
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 第2の課題である新型肺炎は、中国に完成車工場を持つトヨタや日産、ホンダなど5社だけでなく、拠点を持たないスズキやスバルにも影響は及ぶ。中国からの部品供給が滞ると、中国以外の完成車工場でも通常の生産を維持できなくなる。各社は2019年度通期(2019年4月~2020年3月)の業績予想に新型肺炎の影響を見込んでおらず、通期の業績をさらに悪化させるのは確実だ。

 第3の部品の品質問題を抱えるのはホンダとスズキ、スバルの3社である。部品の不具合によってホンダとスズキは基幹車種の生産を一時停止し、スバルはリコール(回収・無償修理)に追い込まれた。2019年度通期の業績を下振れさせる可能性がある。以下、各社の課題とその対応策を具体的に見ていく。