日産自動車は2020年5月末、新たな中期経営計画「NISSAN NEXT」を発表した。世界の生産能力と人員を削減する構造改革が柱で、車種や市場の“選択と集中"などにより、19年度に最終赤字となった業績のV字回復を目指す。同社は18年度から世界販売が落ち込み、業績が急激に悪化。そこに、新型コロナウイルス(新型コロナ)の感染拡大が直撃した。コロナ禍を乗り越えて日産は生き残れるのか。
「2年前から手を打ってきたが、このままでは事業の継続は難しい。失敗を認めて正しい方向に進むことにした」。日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)の内田誠氏は、新たな中期経営計画(事業構造改革計画)を発表し、構造改革を断行する決意を示した。23年度までに、18年度比で3000億円の固定費を削減する(図1)。
日産の新中期計画の発表に合わせて、フランス・ルノー(Renault)と日産、三菱自動車の日仏3社連合(アライアンス)も、競争力と収益力の強化に軸足を置いた事業モデルへの転換を発表した。その柱は、各社が主導して開発する車種と技術、世界の各市場を分担することである。