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写真:ホンダ、NASVA
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ホンダが衝突安全に対するボディー設計の手法を変え始めた。中型セダン「アコード」の日本仕様車で、ボディー骨格に適用する高張力鋼板の強度を下げ、コストを抑えながら衝突安全に対応した。日本の自動車アセスメント(JNCAP)の最新の衝突安全試験で同車は好成績を残した。ホンダの新たな設計手法は、実際の試験でも評価された形である。同社は高張力鋼板の強度を下げながら、どのようにして衝突安全に対応したのか。その取り組みを追う。

 ホンダの中型セダン「アコード」の日本仕様車は、同社の中型車向けプラットフォーム(PF)を適用した注1)。従来の中型車向けPFとの最大の違いは、使用する高張力鋼板の強度を下げつつも、結合や断面を工夫することでボディー骨格の強度を高め、衝突安全に対応したことである(図1)。

注1)ホンダの中型車向けPFはセダンの「シビック」や「インサイト」、SUV(多目的スポーツ車)の「CR-V」などに適用している。
図1 ホンダの中型セダン「アコード」
図1 ホンダの中型セダン「アコード」
2020年2月に日本で発売した。コストを抑えながら強度と軽量化を両立する中型車向けの新プラットフォームを適用した。(撮影:日経Automotive)
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 2013年6月に日本で発売した先代車(9代目)は、側面衝突時に乗員室を変形させないため、センターピラー(下部を除く)やサイドシルに、引っ張り強さが1.5GPa級の高張力鋼板(ホットスタンプ)を使っていた。

 これに対して20年2月に発売した10代目となる現行車は、1.5GPa級のホットスタンプを使用せず、主に590M~980MPa級の高張力鋼板をボディー骨格に適用した。先代車でホットスタンプを使っていたセンターピラーは、780MPa級に強度を下げた。

 サイドシルも先代車ではホットスタンプを使っていたが、現行車では980MPa級に変更した。590MPa級以上の高張力鋼板の使用比率(質量比、以下同じ)は49%となり、先代車より2ポイント程度下がった。高張力鋼板の使用比率を下げながら、ボディー骨格の質量は先代車より5%(11.9kg)軽い(図2)。

図2 アコードのボディー骨格
図2 アコードのボディー骨格
適用する主な高張力鋼板は590M~980MPa級の冷間プレス材。高価なホットスタンプを使わずに、全方位の衝突安全に対応した。ホンダの資料を基に日経Automotiveが作成。
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