車載ソフトウエアの欠陥(バグ)をゼロにする開発手法が注目を集めている。自動運転を背景に、ソフトの安全性やセキュリティーをこれまで以上に高める必要性が出てきたためだ。トヨタ系で電動パワーステアリング(EPS)大手のジェイテクトが量産に導入しようとしているほか、自動運転向けの車載SoC(System on Chip)を手掛ける米NVIDIA(エヌビディア)も同様の手法を検討している。

ジェイテクトや米NVIDIA(エヌビディア)が検討しているのは、ソフトウエアに欠陥がないことを数学的に証明する「定理証明(形式手法の一種)」と呼ぶものだ。自動運転やステアバイワイヤ(SBW)の実用化に伴い、車載ソフトの安全要求は急激に高まっている(図1)。これまではシステムの主機能に故障(システマティックフォールト)が発生した場合、安全機構によってシステムを停止すれば済んでいた。これに対し、自動運転やSBWではシステムを停止するとむしろ危険なため、安全機構によって最低限の機能(バックアップ機能)を継続する必要がある。