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自動運転車に欠かせない技術として開発が進むAI(人工知能)。「レベル3」の自動運転車の実用化で先陣を切るホンダも例外ではなく、障害物の検知や走行経路の決定などに使うAIの開発を進める。だが、自動車メーカーにとってのAIの用途は自動運転だけではない。ホンダは、AIを社内の業務改善に積極活用し始めた。

 「会議の時間を2~3割短縮できた」。ホンダの研究開発子会社であるホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI-JP)プリンシパルエンジニアの住田直亮氏は、AI導入の効果に胸を張る。

 HRI-JPは聴覚障害のある従業員とのコミュニケーションを円滑にするAI音声認識システムを開発した(図12)。ホンダの寄居工場など、グループ内の事業所での本格利用を2020年9月に開始しているという。

図1 独自のAI音声認識で「ワイガヤ」の敷居を下げる
図1 独自のAI音声認識で「ワイガヤ」の敷居を下げる
会話はリアルタイムにテキスト変換。聴覚障害者はタブレット端末などから発言でき、ホンダ伝統のワイガヤにも参加しやすくした。(撮影:日経Automotive)
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図2 ホンダが開発したAI音声認識システムのデモ
図2 ホンダが開発したAI音声認識システムのデモ
発話した音声をリアルタイムにテキスト変換してディスプレーに表示する。(撮影:日経Automotive)
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 コスト低減のためにAIを活用する取り組みもある。「特許の年間維持費用は数十億円に上り、150人もの人員が業務に関わってきた。AIの導入で人の業務量を70%削減できた」。こう語るのは、ホンダの知的財産・標準化統括部で統括部長を務める別所弘和氏だ。特許管理を効率化するAIを開発し、人手を「より戦略的な業務に集中できるようにした」(同氏)という。

 AIを使って従業員の負荷を低減することを目指した2つの事例、詳細を順にみていこう。