ドイツDaimler(ダイムラー)は、高級車ブランド「Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)」の旗艦セダン「Sクラス」を8年ぶりに全面改良した。注目すべきは、衝突を回避する先進運転支援システム(ADAS)の改良だけでなく、衝突後の被害を軽減するパッシブセーフティーの機能も高めた点である。
メルセデス・ベンツ日本社長の上野金太郎氏が「乗員に寄り添う技術を多く搭載した」と語るように、新型Sクラスは安全機能の強化や直感的なHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の採用、操作性の向上など、幅広い領域を刷新した。
安全機能は「Sクラスのコアバリューの中で最も重要」(同氏)とし、ADASで事故を防げなかった場合でも乗員の命を守れるようにパッシブセーフティーに新技術を導入した。
それが、後席の乗員の安全を守るために前席シートの背面に搭載した「SRSリアエアバッグ」である(図1)。メルセデス・ベンツで安全運転機能の開発を担当するヨッヘン・ハープ氏によると、「首や頭部への負荷を最大で30%低減できる」という。後席の左右にリアエアバッグを搭載するのは「世界初」(メルセデス・ベンツ)である。