コンピューターシミュレーションによって自動運転車の走行テストをする「バーチャルテスト(仮想テスト)」がいよいよ本格的な実用期を迎える。バーチャルテストの仕組み(フレームワーク)を標準化する国際的な動きによって、仮想空間に配置する道路などのデータ整備が進んでいるためだ。今後はテストシナリオなども標準化される方向である。
自動運転車を仮想空間で走らせてテストをする「バーチャルテスト(仮想テスト)」の重要性が高まっている。バーチャルテストに欠かせない道路などの3次元CG(コンピューターグラフィックス)データを手掛けるバーテックス(東京・千代田)は、「いよいよ本格的な実用期が到来しつつある」(同社社長の尾小山良哉氏)と期待を寄せる(図1)。
背景には、バーチャルテストの仕組み(フレームワーク)を業界全体で標準化する動きがある。ドイツの連邦経済エネルギー省(BMWi)のプロジェクト「PEGASUS」や、国際標準化団体ASAM(Association for Standardisation of Automation and Measuring Systems)の活動が中心となり、SILS(Software-In-the-Loop-Simulation)環境の仕様策定が進んでいる(図2)。これまでバーチャルテストに使うSILS環境は企業によってバラバラで、例えば仮想空間に配置する道路データのフォーマットも定まっていなかった。標準化によって、将来主流になりそうなバーチャルテストのフレームワークや、そこに使われるデータフォーマットなどが徐々に見えてきた。